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[25日午後にソウル外信記者クラブで記者会見したテ・ヨンホ元駐英北朝鮮公使=崔在雄撮影]

 昨年夏に韓国に亡命したテ・ヨンホ元駐英北朝鮮公使は25日、民衆蜂起による金正恩(キムジョンウン)政権の崩壊もありうるとの見方を示した。
 ソウル外信記者クラブでの記者会見で語った。
 日本人拉致問題を巡って、「北内部の指導層は日本にだまされたと考えている」と語った。

 テ氏は「北内部で政権に対する反感が高まっている」と説明。
「住民は政権の宣伝運動に耳を貸さない。確実に金正恩の時代は終わる」と語った。

 背景の一つとして、外部情報の流入や不正の横行を指摘。
「韓国ドラマを見て捕まっても、2千ドル(約23万円)払えば釈放される」と語った。
「私が子供のころ、北の経済規模が南より大きいと学んだが、今は映画やドラマで南の生活水準が高いことを知っている」とも説明。
 北朝鮮も住民に対して「経済水準は南が上だが、米国の植民地に過ぎない」と説明しているという。
朝日新聞デジタル
(ソウル=牧野愛博)

 ◇麻薬と韓流、北朝鮮で拡散?亡命外交官の証言を読み解く

 今夏、北朝鮮の駐英公使だったテ・ヨンホ氏が韓国に亡命した。
 テ氏が27日、韓国記者団に語った北朝鮮の実情とはどのようなものだったのか。
 2014年に韓国に来た北朝鮮軍の元中堅将校が、テ氏の発言を読み解いた。

 テ氏 「昼間は金正恩(キムジョンウン)万歳を叫びながら、夜は布団をかぶって韓国映画を見ているのが現実だ。私の知り合いで韓国ドラマや映画を見ていない人間はいない」

 ――北朝鮮では2000年代に入り、「冬のソナタ」などの韓国ドラマが流入するようになった。最初はDVD、今はUSBが主流。3G携帯が普及してからは、当局の目を盗みやすくなった。私も韓国の「コッポダナムジャ(花より男子)」を見て、自家用車が普及している様子に衝撃を受けた。

 テ氏 「麻薬と韓流の二つは、北も拡散を止められない」

 ――覚醒剤は北では日常的に使われている。たとえば、親しい友人が訪ねてきたときに酒を勧めるような感覚だ。元々、国が密輸用に製造していたが、1990年代の「苦難の行軍」(経済難)当時、一般人が製造設備を持ち出して勝手に製造・密売するようになって一気に広まった。
朝日新聞デジタル