■関西で起きた青酸化合物を使った連続不審死事件をふまえ、警察庁は来年度から、警察が取り扱う遺体全てについて原則、毒物が使われていないか検査することを決めた。現在は睡眠薬などの薬物検査を必要な場合にはしているが、毒物検査を加えることで、事件を見逃さないよう徹底する。

 警察は検視などで事件性があると判断した場合、遺体を解剖し、薬物や毒物も検査する。そうでない場合、検視をした後に警察官が必要だと判断すれば、尿や血液を採取し、睡眠薬や抗うつ剤、覚醒剤などの薬物が含まれていないか簡易検査をしている。薬物検査を全国で統一的に実施するようになったのはここ数年という。
 ただ、毒物検査は一部の警察しかしておらず、連続不審死事件で大阪府警や兵庫県警、奈良県警は5件を「病死」と判断し、事件と気付いていなかった。

 新たに導入する毒物検査は、血液を採取して成分を調べる検査キットを使う。青酸のほか、一酸化炭素やアルコールも検知できる。全都道府県警に計221式を配備する予定。
 病死や事故の可能性が高いと判断した場合でも、念のため唾液(だえき)に青酸などが含まれていないか調べる試験紙を導入する。白骨化しているなど血液を採取できない場合を除き、どちらかの検査をする。これらの整備費として来年度当初予算案に約4200万円を計上した。
朝日新聞デジタル・吉田伸八)




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