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 ◇アサド政権側の部隊が実行「ほぼ確実」(米政府) シリア政権は否定

 【ベルリン時事】
 シリアの人権問題などを担当する国連の独立調査委員会は4日、声明を出し、シリア北西部イドリブ県の反体制派支配地域で行われた毒ガス使用が疑われる攻撃について、調査を開始したことを明らかにした。
 
 米政府関係者はロイター通信に対し、猛毒の神経ガスであるサリンが使われたとの見方を示した。
 アサド政権側の部隊が実行したことは「ほぼ確実だ」という。
 現地の保健当局高官も「戦闘機がサリンと塩素とみられるガスで攻撃した」と述べた。

 一方、アサド政権軍は「(化学兵器は)一度も使ったことがない」と強調し、攻撃への関与を否定した。
 攻撃では死者が100人以上、負傷者が300人に達するという情報もあり、真相究明を求める国際社会の声が強まっている。

 調査委員会は、負傷者が治療を受けていた病院に空爆があったと伝えられた問題でも情報収集を開始。
 攻撃を強く非難し、「化学兵器の使用と医療施設の意図的な攻撃はどちらも戦争犯罪になる」と指摘した。
 その上で、攻撃の実行者を突き止め、責任を追及することが不可欠だと訴えた。時事通信

・現地の報道によると100人を超す人々が病院に搬送されてきたのは4日の午前7時半ごろ。
・地元医師「このうち25人は既に死亡、7~8割は女性や子供だった」(米CNN)
・患者は化学兵器に特有の症状――顔が青ざめ、発汗、呼吸困難

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※サリン
 「青酸カリの500倍」の毒性を持つとされる神経ガスで、1938年にドイツで開発された。化学兵器禁止条約(CWC)で開発や生産、取得、保有などが禁止されている。
CWCにはエジプト、イスラエル、北朝鮮、南スーダンを除く192カ国が加盟。シリアも2013年に加盟した。CWCの実施機関として化学兵器禁止機関(OPCW)がある。