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 【北京=藤本欣也、モスクワ=遠藤良介】
 北朝鮮が弾道ミサイルを発射した14日は、中国の習近平国家主席が自ら提唱した現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」に関する初の国際会議の開幕日に当たった。
 中国が今年最大の外交イベントとして入念に準備してきた会議であり、中国最高指導者はせっかくの“晴れ舞台”にけちをつけられる屈辱を味わう形となった。

 習氏は苦虫をかみつぶしたような表情で開幕式で演説を行った。
 弾道ミサイルを発射した北には触れなかったが、中国外務省の華春瑩報道官は演説後、「中国側は北朝鮮が国連安全保障理事会の決議に違反し、弾道ミサイルを発射する行為に反対する」などと北を批判する声明を出した。

 習氏は開幕式後、同会議に出席するため訪中したロシアのプーチン大統領と会談。露主要メディアがペスコフ大統領報道官の談話として伝えたところによると、両首脳は詳細に朝鮮半島情勢を話し合い、14日のミサイル発射を含む緊張の高まりについて「双方の懸念」が示されたという。

 中国としては、制裁下にある北朝鮮の代表団を同会議に招請しただけでなく、米側の不満の声も一蹴していただけに苦しい立場だ。
 今後、トランプ米政権からさらなる対北圧力強化を求められる可能性が高いほか、国内でも対北批判の世論が広がりかねない。習氏の怒りも想像に難くなく、北朝鮮が習氏の顔に泥を塗った代償は高くつくとの見方も出ている。
産経新聞 5/15(月)

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