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[龍城(リヨンソン)機械連合企業所の「2月11日工場」を視察する金正恩第1書記]

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)労働党委員長が2月25日に「92号工場」で非公開の現地指導をし、核兵器の保管・管理を秘密にするよう指示したという内容が書かれた北朝鮮の極秘文書を、中央日報が21日に入手した。

 文書を作成したのは武器開発政策を担当する労働党軍需工業部。92号工場は核弾頭とミサイルを作るところと軍当局は推定している。しかし軍当局も存在を把握しているだけで、正確な位置などはベールに包まれている。

 中央日報は前日、北朝鮮が300ミリ放射砲(多連装ロケット)に誘導装置を装着して精密打撃能力を高めたという内容の軍需工業部の3月2日付極秘文書を入手して報道した。
 この文書の3日前の2月27日に作成された文書のタイトルは「敬愛なる最高指導者・金正恩同志がくださった指示執行で提起されている問題への対策の準備」であり、その上に「極秘」と書かれている。

 文書によると、金正恩委員長は92号工場でを現地指導しながら「核兵器の開発生産と保管管理はわが国の国家軍事秘密の中でも最高の秘密であり、国の生死存亡を左右する秘密中の秘密」と述べた。

 金正恩委員長の92号工場現地指導時期は、異母兄の金正男(キム・ジョンナム)氏がマレーシアで殺害された12日後であり、現地指導は労働新聞など国営メディアに報道されなかった。

 注目されるのは金正恩委員長が核兵器の「保管・管理」に言及した点だ。
 金正恩委員長の核兵器関連言及が確認されたのは初めて。

 北朝鮮は憲法(2012年)と国営メディアを通じて核兵器保有を主張してきたが、国際社会は北朝鮮の核兵器保有を認めていない。

 しかし金正恩委員長がすでに核兵器を保有したと推定できる「保管・管理」という言葉に言及し、秘密の維持を伝えた事実が内部文書に含まれているだけに、今後の北朝鮮との非核化交渉は容易でないことを表している。

 軍と外交安保当局は文書に登場した「浸透対象」(配布対象)機関に注目している。文書は「浸透対象」を「8総局、92号工場、龍城(リヨンソン)軍需精密機械工場」としている。
 8総局は軍需工業部第2経済委員会の傘下組織で、韓国の防衛事業庁に該当する核・ミサイル担当局だ。
 龍城軍需精密機械工場は92号工場のようにミサイルと核弾頭を製造する工場と軍当局は判断している。

 軍の関係者は「核を作る場合、ミサイルに搭載しなければならないため、徐々に核とミサイルに関連する工場・施設が増える傾向」とし「北が全国に分散配置した核関連工場・施設は30か所ほどと把握している」と述べた。

 脱北者のイ・ユンゴル北朝鮮戦略情報サービスセンター代表は「92号工場は、金正日(キム・ジョンイル)総書記が2005年にミサイルを本当にうまく作ると称賛したところ」と説明した。

 キム・ジンム淑明女子大国際関係大学院教授は「北に経済的支援をして核施設を凍結するという形の1994年のジュネーブ合意、2007年の6カ国協議2・13合意当時と比べ、北の核能力は完全に違っている」とし「北が核を保有したという仮定のもと、対北核兵器戦略を立てる必要もある」と述べた。
 
 政府当局者は「金正恩委員長が言及した核兵器が完成品かどうかは確認されていない」と話した。
中央日報日本語版
6/22(木)


ジュネーブ合意=米朝枠組み合意(US-DPRK Agreed Framework)
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 北朝鮮の核開発疑惑に対し、米朝両国が1994年10月21日にジュネーブで調印

 北朝鮮が核爆弾の原料となるプルトニウムの抽出が容易な黒鉛減速炉の建設・運転を凍結する代わりに、米国が軽水炉(LWR)建設を支援し、完成まで代替エネルギーとして年間50万トンの重油を供給する。