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[Sアミーユ川崎幸町内に設置されたカメラの映像より]

 川崎市の老人ホーム(Sアミーユ川崎幸町)で入所者3人が相次いで転落死した事件で、殺人罪に問われた元職員今井隼人被告(25=横浜市神奈川区立町)の裁判員裁判の論告求刑公判が1日、横浜地裁(渡辺英敬裁判長)であった。

 検察側は「職員の立場と信頼を利用して非力な高齢者の命を奪った」と指摘し、死刑を求刑した。弁護側が最終弁論で無罪を主張し、結審した。判決は今月22日。

 直接的な証拠が乏しく、検察側は状況証拠を積み重ね、被告による殺害を立証した。転落の事件性や捜査段階の自白の信用性などが争点となっている。

 検察側は論告で、「転落があった日全てで当直勤務に入っていた職員は今井被告だけだ」として、今井被告の犯行と主張。逮捕前後の聴取や取り調べで説明した殺害の様子は「犯人でなければ語れない迫真性がある」と指摘した。

 公判前の精神鑑定で今井被告は、対人関係を築くのが苦手な「自閉スペクトラム症」と診断されたが、「犯行への影響は著しくない」として、完全責任能力があると主張。「更生の意欲も可能性も皆無。極刑以外の選択の余地はない」と述べた。

 弁護側は最終弁論で「事件性・犯人性を裏付ける客観的証拠がない」と述べ、被害者が誤って転落したなどの可能性を否定できないと反論。

 今井被告は警察官に圧力を掛けられた末、「追い詰められ、正常な判断を失ってうその自白をした」と無実を訴えた。
時事ドットコム (2018/03/01-17:45)

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