◇米国にとって中国は最大の赤字国
→2017年のモノの対中貿易赤字は$3752億(約42兆円)=赤字全体の約半分

 米中両政府は、「貿易戦争」に至る決定的な対立の回避で歩み寄り、トランプ米大統領が求める貿易不均衡の是正に向け、中国側が米農産物などの巨額輸入(円換算で約22兆円)に同意したものの、米政権内には中国の知的財産侵害やハイテク産業育成策への不満がくすぶり、米中の火種は残ったまま。

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 「大統領はこれまでになく楽観的だった」――米政権で経済司令塔を務めるクドローNEC委員長は、18日の米テレビ番組でこう指摘し、トランプ氏が今回の米中協議の成果に手応えを感じている様子を伝えた。

 通商分野の公式協議は昨夏以降、途絶えていたが、今月初めに米交渉団が北京を訪れ、米中対立が激化して以降、初めて協議入り。

スティーヴン・ムニューシン、劉鶴

 これに続く会合だった今回は、中国の習近平国家主席の経済ブレーンである劉鶴副首相が訪米。
 米側は穏健な対中姿勢のスティーヴン・ムニューシン財務長官が代表となり、「建設的な議論」(政権幹部)が交わされたという。

 ただ、北京とワシントンでの協議の過程で、米政権内の路線対立も鮮明になった。

p 北京会合に際し、厳しい対中政策で知られるピーター・ナバロ通商製造政策局長(左)と、ムニューシン氏が交渉姿勢をめぐり「激しい言い合いになった」(米紙ニューヨーク・タイムズ)という。

 17、18日の協議では、両国政府が当面の一致点を探った形となったが、ナバロ氏や米通商代表部(USTR)のライトハイザー代表ら対中強硬派は、不満を募らせているとみられる。

 トランプ政権は中国の知財侵害に対抗する関税発動の是非を6月にも判断する。米議会も独自に中国による対米投資の規制強化に動いており、米中関係はすぐにでも対立が激化する発火点を抱えている。(塩原永久)
産経ニュース 5/20(日)

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 ◇中国、対米輸入増で合意=貿易協議で共同声明-19日

 米中両政府は19日、貿易摩擦をめぐる閣僚級協議に関する共同声明を発表――中国に対する米貿易赤字の大幅な削減に向け、中国が効果的な取り組みを進めていくことで一致。
 中国は、米国からモノとサービスの輸入を大幅に拡大し、米国産農産物、エネルギーを大量に受け入れることで合意した。

 2017年のモノの対中貿易赤字は3752億ドル(約42兆円)と赤字全体の約半分を占めた。声明は、赤字削減の具体的な目標値には言及していない。

 中国国営中央テレビによると、中国側の代表を務めた劉鶴副首相は「中米は貿易戦争をしないことで一致した」と明らかにした。
時事ドットコム 5/20(日)


 ◇中国、輸入拡大で譲歩か=効果に疑問の声-米との貿易協議

【ワシントン時事】米国、中国による「貿易戦争」回避に向けた公式協議は17日、初日の協議を終えた。一部メディアによると、中国は毎年最大2000億ドル(約22兆円)相当の米国産品を輸入すると提案。
 単純計算すると、中国に対する米貿易赤字の半分近くが相殺されるが、専門家からは「幻想にすぎない」と赤字削減効果を疑問視する声が上がっている。

 ピーターソン国際経済研究所は、米中で毎年巨額の貿易取引が増えることになれば「他の貿易相手国との輸出入を大幅に見直す必要が出てくる」と警告。
 別の専門家は「米国の工場や農家に新たに大規模な輸出目標を達成する余力はない」と分析した。

ピーター・ピーターソン
ニクソン政権時代の商務長官だったピーター・ピーターソン

 中国の最大の狙いは、米政権が発動した中国通信機器大手、中興通訊(ZTE)に対する制裁見直し。ZTEは同業の華為技術(ファーウェイ)とともに中国のハイテク産業の根幹を担う。

 米国から巨額輸入を受け入れるだけでなく、米国産穀物に対するダンピング(不当廉売)調査を打ち切ると発表。協議の初日から制裁緩和獲得へ「譲歩」を演出した。
時事ドットコム 2018/05/18

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中国を為替操作国に指定する。同国製品には45%の関税を課す