小麦粉によるO-121患者の分布

 ◇CDCが全米の患者を調査して原因を特定

 米国Centers for Disease Control and Prevention(CDC)のSamuel J. Crowe氏らのチームは、2015年12月21日~2016年9月5日に米国の24州で発生した56件の志賀毒素産生性大腸菌(STEC)感染症の調査を進め、O121とO26のアウトブレイクの原因は、米国のメーカーが市販した小麦粉だったと報告した。
詳細はNEJM誌2017年11月23日後に掲載された。
日経メディカル 2017/12/18

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◆内閣府 食品安全委員会

 米国疾病管理予防センター(CDC)は7月1日、小麦粉に関連した複数州における志賀毒素産生性大腸菌O121(STEC O121)集団感染症の更新情報を発表した。概要は以下のとおり。
Ⅰ.新情報
1.General Mills社は7月1日、Gold Medal Flour、Signature Kitchens Flour及びGold Medal Wondra Flourの追加ロットを含め、リコールを拡大した。

2. STEC O121は、アリゾナ州、コロラド州及びオクラホマ州の患者の家庭から採取されたGeneral Mills社の小麦粉の検体から分離された。

3.4州から更に4人の患者が報告された。直近の発症は6月8日であった。新たにインディアナ州が発生州のリストに追加された。

Ⅱ.ハイライト
1.CDC、複数州及び米国食品医薬品庁(FDA)は、複数州におけるSTEC O121感染症の集団発生に関して調査している。

(1) 6月28日現在、21州から42人のSTEC O121集団感染株の感染症例が報告されている。
(2) 発症は2015年12月21日から2016年6月8日であった。患者の年齢は1歳から95歳、年齢中央値は18歳で、患者の81%が女性であった。
(3) 11人の患者が入院したが、腎不全を起こす溶血性尿毒症症候群を発症した患者及び死亡者は出ていない。

2.疫学、検査及び追跡調査の証拠は、ミズーリ州カンザスシティのGeneral Mills社の施設で製造された小麦粉が集団感染の原因の可能性が高いことを示している。

(1) General Mills社は5月31日、いくつかの異なるサイズ及び種類のGold Medal Flour、Gold Medal Wondra Flour及びSignature Kitchens Flourを大腸菌汚染の可能性があるとしてリコールした。

3.FDAは6月下旬、アリゾナ州及びオクラホマ州の患者の家庭から採取したGeneral Mills社の小麦粉の検体からSTEC O121を分離した。オクラホマ州で採取された小麦粉は、当初のGeneral Mills社のリコールには入っていなかった。

(1) これらの検査結果から、7月1日にGeneral Mills社は当初のリコールと同じブランドの小麦粉の追加ロットにまでリコールを拡大した。
(2) 6月初旬のFDAの検査で、コロラド州の患者の家庭から採取されたGeneral Mills社の小麦粉の開封された検体からSTEC O121集団感染株が分離された。この小麦粉は、当初のリコールに含まれたロット由来であった。

4.CDCは、消費者、レストラン及び小売店がリコールされた小麦粉を使用、提供又は販売しないよう勧告する。

5.リコールされた小麦粉であるか他の小麦粉であるかに拘らず、生の生地又は衣を摂取してはならない。これらに使用した小麦粉や他の材料は汚染されている可能性がある。

(1) 消費者は、生の生地又は衣で作られた製品は焼いてから摂取すること。生の生地又は衣を味見しないこと。
(2) レストラン及び小売店は、生の生地を顧客に提供したり、子供や他の客に生の生地で遊ばせないこと。

6.この件は調査中であり、CDCは情報が入手され次第、最新情報を公表する。


米国疾病管理予防センター(CDC)
https://www.cdc.gov/ecoli/2016/o121-06-16/index.html

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