◇「在日コリアン」理由に懲戒請求、弁護士への名誉毀損認定
 41歳男性に33万円の賠償命令:平成30(ワ)26018

金竜介

 在日コリアンであることを理由とする不当な懲戒請求で、名誉を傷つけられたとして、東京弁護士会に所属する金竜介弁護士が、懲戒請求した男性を相手取り、計55万円の慰謝料等をもとめた訴訟の判決が10月23日、東京地裁であった。浅香幹子裁判官は、金弁護士側の主張をみとめて、男性に対して計33万円の支払いを命じる判決を下した。

 判決によると、男性は2017年11月、朝鮮学校への補助金交付をもとめる東京弁護士会の声明に反発して、「確信的犯罪行為である」などとして、金弁護士ら同弁護士会に所属する18人の弁護士に対して、懲戒請求をおこなった。

 同弁護士会は今年4月、金弁護士らを懲戒しないと決定した。
 金弁護士は7月、男性を相手取り、損害賠償をもとめる訴訟を起こした。

 男性が口頭弁論期日に出廷せず、さらに答弁書なども提出しなかったため、そのまま審理が終わっていた。
 東京地裁は、「(金弁護士が)東京弁護士会の役員でなく、声明にも関わっていなかった」「在日コリアンであるということを理由に懲戒請求の対象者とされたと認められる」とした。

 弁護士に対する懲戒請求は、東京弁護士会の声明に反発する「余命三年時事日記」というブログが発端となって、全国レベルで大量におこなわれている。金弁護士は、複数の請求者を相手取って提訴しているが、この男性以外は、答弁書を提出しており、このあとも裁判がつづくという。

◇東京地裁判決 

 在日コリアンの排斥を訴えるブログを読んだ男性(41)から根拠のない懲戒請求を出されて名誉を傷つけられたなどとして、金竜介弁護士が請求者の男性を相手取り55万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が23日、東京地裁であった。
 浅香幹子裁判官は、金弁護士側の主張を認め男性に33万円の支払いを命じた。 

 判決によると、男性は昨年11月、朝鮮学校への補助金交付に絡んで東京弁護士会が出した声明に賛同したのは「確信的犯罪行為である」などとして金弁護士ら18人の弁護士の懲戒を同弁護士会に請求。
 浅香裁判官は「(金弁護士が)在日コリアンであることを理由に対象者とされた」と認めた。 

 ブログが「反日」や「在日」と決めつけた弁護士への懲戒請求を呼び掛けたことなどを受け、計約13万件の懲戒請求が出され、各地で弁護士が請求者を提訴している。
 金弁護士に対してはこの男性によるものを含めて計959件の懲戒請求が出されていた。 

 金弁護士は訴訟で「請求は人種差別であり、悪質性は顕著」などと主張。
 判決を受けて「評価できる判決。(一連の懲戒請求が)社会的に認められないということを一人一人に理解してもらいたい」と語った。【後藤由耶】 
毎日新聞 10/23(火) 

        *

◆関連記事
【余命3年時事日記】神原元弁護士(自由法曹団常任幹事)が公安警察との協力を示唆、ツィッターで意見表明、懲戒請求者のリストを提供か →金竜介弁護士は「在特会」関連訴訟で有名、ヘイトスピーチで実効的な法規制を強く求めている

【余命3年時事日記】不当な大量懲戒請求呼びかけ、弁護士が扇動者の情報求め提訴 →「不当な請求を受け、ブログ運営者も共同不法行為に当たる」

【余命3年時事日記】「堂々と人種差別された」大量懲戒請求を受けた弁護士2名が提訴 余命氏所在不明 →金竜介弁護士(自由法曹団団員):専門は外国人刑事弁護と入管関連事件

「在日韓国人が7月9日に在留資格失い、強制送還」←デマの拡散で入管に不法滞在通報相次ぐ →『余命3年時事日記』ブログでデマ拡散、偽の通報が相次いで入管サイトがサーバーダウン