文在寅、金正恩

◇金正恩の使い走りと成り果てた文在寅は米国に「縁切り」を言わせたい
 
鈴置:韓国に駐在するハリス(Harry Harris Jr.)米国大使が「米韓同盟がいつまでもあると思うな」と韓国に警告しました。文在寅(ムン・ジェイン)政権が制裁緩和を唱えるばかりで、北朝鮮の非核化に不熱心――はっきり言えば非核化を妨害しているからです。

ハリス駐韓米大使
駐韓ハリス米国大使「米韓同盟はいつまであるか分からない」と警告

 ハリス大使は「2018年統一貢献大賞」を受賞。11月26日にソウル市内で開いた授賞式での発言でした。

 朝鮮日報社の発行する月刊朝鮮が独自ダネ「ハリー・ハリス駐韓米大使、『米韓同盟を当然視してはいけない』」(韓国語、11月27日)で報じました。大使の発言を記事から拾います。式の参加者が同誌に伝えたものです。

――(米朝首脳会談により)北朝鮮に肯定的な変化が生まれる可能性が無限にあると考えている。
 しかしこれは金正恩(キム・ジョンウン)委員長が非核化に関する自身の約束を守る時にのみ可能になる。
 北朝鮮が非核化に関する具体的な措置をとるまで、現在の制裁が維持されるということだ。
 文大統領が語ったように、南北対話は非核化の進展と必ず連携されることだろう。――

 9月下旬に訪米した際、文在寅大統領はあちこちで「北朝鮮は平和に向け動き出した」「金正恩委員長は信頼できる」などと強調しました。

トランプ大統領 文在寅の握手拒否
トランプ大統領は握手を拒否

 ◇「北朝鮮の使い走り」と米国で見切られた文在寅
「金正恩は信頼できる」と詭弁を連発したあげくに……

 米メディアが文在寅(ムン・ジェイン)大統領を「金正恩(キム・ジョンウン)の首席報道官」と報じた。訪米中に北朝鮮の核武装を擁護する詭弁を繰り返したため「北の使い走り」と見切られた

ブルームバーグ(Bloomberg)は「文在寅は金正恩の首席報道官」との見出しで報じました。
「South Korean’s Moon Becomes Kim Jong Un’s Top Spokesman at UN」
(9月26日=JST)

・While Kim Jong Un isn’t attending the United Nations General Assembly in New York this week, he had what amounted to a de facto spokesman singing his praises: South Korean President Moon Jae-in.

 金正恩は国連総会に出席しなかったが、彼を称賛する事実上のスポークスマンを得た。韓国の文在寅大統領である――と言い切ったのです。

トランプ大統領
・・・に対する嫌悪感を隠さないトランプ大統領

 ◇「勝手に動くな。言うことを聞け」と文在寅を叱ったトランプ大統領

 10月10日、トランプ(Donald Trump)大統領はホワイトハウスで「韓国は米国の承認なしに何もできない」と3度も繰り返し語りました。韓国が対北援助の再開に動くことに関し、記者から聞かれての答えです。

文在寅 ローマ法王

 それでも文在寅政権はめげることなく、10月中旬の欧州歴訪では、仏、英、独の首脳と会談し対北制裁をやめさせようと画策。ローマ法王まで“動員”する暴走ぶりでした。
 欧州を味方に付け、米国を孤立させようとしたが、その目論見は完全に失敗に終わりました。


 ◇「北朝鮮と心中する韓国」―北朝鮮への制裁解除を巡り米韓対立が激化

 文在寅大統領が欧州を訪問、主要国首脳に北朝鮮に対する制裁の緩和を求めたが、完全に無視され、米韓関係をますます悪化させただけでした。

欧州歴訪は大失敗
鈴置:文在寅大統領の訪欧が大失敗に終わりました。10月13日から21日までフランス、イタリア、ベルギー、デンマークを歴訪。19日にはブリュッセルで開かれたASEM(アジア欧州会合)首脳会議に出席しました。

マクロン大統領

 仏、英、独などの首脳と会談しては強引な理屈をこねて北朝鮮への制裁をやめさせようとしたのです。
 ハンギョレの「文大統領、英独首脳と会談し『対北制裁の緩和』を公論化」(10月20日、日本語版)から大統領の発言を拾います。
 
・(10月15日、マクロン仏大統領に対し)少なくとも北朝鮮の非核化が後戻りできない段階まで進んだと判断される場合は、国連制裁の緩和を通じて、北朝鮮の非核化をさらに促さなければならない。安保理の常任理事国として、このような役割を果たしてほしい。

・(10月19日、メイ英首相に対し)少なくとも北朝鮮が後戻りできないほど非核化を進展させた場合、北朝鮮に対する人道的支援や制裁緩和が必要であり、国連安保理でそのプロセスに関して議論することが必要だ。


 ◇無視された文在寅の屁理屈

 文在寅大統領はメイ首相に、以下のようにも語りました。

・北朝鮮は昨年11月以降、核とミサイル実験を中止し、豊渓里(プンゲリ)核実験場の廃棄や東倉里(トンチャンリ)のミサイル実験場と発射台の廃棄を約束したのに続き、米国が相応の措置を取った場合は、プルトニウムの再処理とウラン濃縮核物質を作る寧辺(ヨンビョン)の核施設を放棄する用意があることを明らかにした。

・北朝鮮が引き続き非核化措置を推進できるよう、国際社会が国連安保理を中心に促進策に関する知恵を集めなければならない。

 文在寅大統領の理屈は「北朝鮮が核・ミサイル実験を中断し、核実験場などの廃棄を約束した」から「北にさらに非核化を推進させるよう、制裁解除を検討しよう」ということです。北朝鮮の口約束を「後戻りできない非核化」に認定してしまったのです。

 こんな屁理屈に騙される人はいません。英独仏の首脳は「北朝鮮はCVID(完全かつ検証可能で不可逆的な非核化)のため、より確実な行動を示す必要がある」と口をそろえました。

 北朝鮮は核弾頭やミサイルを保有したまま。実験場を廃棄したぐらいで非核化したとは認められない、と文在寅提案を一蹴したのです。

 そして10月19日、ASEM首脳会議は「安保理決議に従い、核およびその他の大量破壊兵器、弾道ミサイル及び関連する計画と施設の、完全な、検証可能な、かつ、不可逆的な廃棄を要求」との議長声明を採択しました。
日経ビジネス 

無視される文在寅
G20でも孤立して会話に入れないまま終了