宇宙からの謎の電波

【AFP=時事】カナダの天文学者チームが、太陽系がある天の川銀河(銀河系、Milky Way)外部のはるか遠方から複数回にわたり連続的に放射された謎の電波を検出した。英科学誌ネイチャー(Nature)に9日、2件の研究論文が発表された。

 これらの強力な電波が宇宙のどのような領域に由来し、どのようにして生成されたかは、依然として不明だ。

 このいわゆる反復する「高速電波バースト(FRB)」は、新たに建設された、特定の目的を持つ電波望遠鏡を2018年夏に試運転した際に検知された。試運転では、望遠鏡が持つ本来の性能のほんの一部だけを稼働させたという。

 望遠鏡は「CHIME(カナダ水素密度マッピング実験)」として知られる世界で最も高性能の電波望遠鏡で、アンテナの面積はサッカー場ほどある。本格稼働に入った現在、さらに多くの「謎のパルス電波」を検出できる状態にある。

 今回の研究に参加した5か所の研究機関の科学者50人からなる研究チームの一員で、カナダ・ブリティッシュコロンビア大学(University of British Columbia)博士課程学生のデボラ・グッド(Deborah Good)氏は、「今年の終わりまでに1000個の電波バーストを発見できているかもしれない」と望遠鏡の成果に期待を寄せる。

 FRBのフラッシュはほんの一瞬の現象だが、太陽放射の1万年分に匹敵するエネルギーが放射されることも考えられるという。

 電磁スペクトルの長波長側の電磁波において、このような高エネルギーのうねりを引き起こしているものの正体をめぐっては、今なお激しい議論が続いている。

 FRBは2007年以降に60回以上記録されているが、2012年に米自治領プエルトリコ(Puerto Rico)にあるアレシボ天文台(Arecibo Observatory)で観測された1例でのみ、複数回の再発が確認されていた。

 考えられる発生源には、星形成が行われる乱流ガス雲によって引き起こされる宇宙の激変現象や、超新星など星の爆発といったものがある。だが、連続して放射される電波バーストは特殊なケースだ。

■宇宙人の可能性は?

 今回の2件の論文の責任執筆者で、カナダ・マギル大学(McGill University)の天文学者シュリハーシュ・テンドルカール(Shriharsh Tendulkar)氏は、「バーストが繰り返されるという事実により激変現象モデルは排除される。激変現象では、バーストを放射する際に発生源が破壊されるからだ」と説明する。

「中性子星同士の合体や、中性子星とブラックホールの合体などで放射されるFRBは反復できない」

 反復するバーストの発生源が、単発の電波パルスを生成する発生源と異なるかどうかについては、まだ明らかになっていない。そして重要なのは、2012年と今回発見された2018年の「反復FRB」は、その性質が非常によく似ていることだ。

 これらの謎の電波パルスは、宇宙のどこか別の場所に存在する知的生命体を示すものである可能性はないのだろうか。また瓶に入れられたメッセージということは考えられないのだろうか。

 これについてテンドルカール氏は、「その可能性は極めて低い」と指摘する。

「科学者としては、その可能性を100%排除することはできないが、知的生命体がFRBの発生源だとは、天文学者は誰一人として考えていない」 

【翻訳編集】AFPBB News
 2019年1月10日

高速電波バースト(FRB)
 ◇宇宙からの謎の電波「高速電波バースト」が宇宙のどこで発生していたのかが判明

 2007年に初めて観測された謎の天体現象「高速電波バースト(FRB)」の正確な発生源が初めて突き止められました。高速電波バーストについては未知の要素が多くありますが、今回の発見は謎の現象解明への第1歩となりそうです。


 高速電波バーストは、1000分の1という短時間で電波が放射される天体現象のことで、2007年に初めて観測されました。2007年からこれまでにかけて18回発生しているのですが、その中でも「FRB 121102」と名付けられた高速電波バーストは複数回にわたって同じ場所で発生していることが明らかになっています。

「FRB 121102」を発見したコーネル大学のシャミ・チャッタルジー教授は、高速電波バーストの発生源を突き止めるために研究チームを結成し、宇宙からの微弱な電波を捕らえる施設「カール・ジャンスキー超大型干渉電波望遠鏡群」で「FRB 121102」の観測を6カ月にわたって実施しました。

カール・ジャンスキー超大型鑑賞電波望遠鏡

 観測の結果、研究チームは「FRB 121102」の高解像度画像を撮影することに成功し、画像から銀河の移動速度を計算し、「FRB 121102」の発生源が地球から約30億光年の場所にある矮小銀河であることを突き止めました。

 チャッタルジー教授は「30億光年離れた場所からでも観測できるということは、『FRB 121102』が放出されたときのエネルギーが考えられないほど大きいということです」と話しています。

 発生源の場所を特定できたものの、今回の観測だけでは発生源の正体まではわかりません。
 これほどにまで大きなエネルギーの「FRB 121102」を生み出しているのは、ブラックホールのほか、大量の高エネルギー電磁波を放射するマグネターであるという仮説が立てられています。

マグネター

チャッタルジー教授の次の狙いは「FRB 121102」以外で繰り返し発生する高速電波バーストを観測し、発生している銀河を特定すること。高速電波バーストを発生している銀河を複数個発見できれば、発生源やメカニズムの解明につながるそうです。
Gigazine 2017年01月05日