レーダー照射問題

 【ソウル=桜井紀雄】韓国駆逐艦による海上自衛隊哨戒機へのレーダー照射問題で、防衛省が16日にシンガポールでの日韓実務者協議をめぐって韓国側が事実と異なる内容を非公開の取り決めに反して公表したとして抗議したことに対し、韓国国防省は17日、韓国に駐在する日本の防衛駐在官を呼び、厳重に抗議したと明らかにした。

 韓国国防省は15日の会見で、哨戒機の飛行で駆逐艦の乗組員らが脅威を感じたとの主張に関し、「実務者協議で日本側が一部うなずいた」と説明。これに対し、防衛省は「全く認めていない」と反論していた。

 国防省は17日、メディア向けに発表したコメントで、韓国側の説明は「正確な事実だ」と強調。逆に日本メディアの報道を持ち出して、「協議終了前には報道しないという事前合意を破った」と主張し、防衛省に再発防止を求めた。
産経新聞 2019.1.17

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 ◇「米軍なら即座に撃沈」 レーダー照射、日韓関係さらに冷え込み

 韓国海軍の駆逐艦が海上自衛隊のP1 哨戒機に対して行った火器管制用レーダーは「攻撃予告」ともいえる危険な行為だ。韓国側は「海自の哨戒機を追跡する目的でレーダーを使った事実はない」などと釈明するが、照射された側が先に攻撃したとしても、国際法上は何ら問題が生じないほどの事案だ。折しも日韓関係は、いわゆる徴用工訴訟の問題などで最悪の状況にあるが、さらなる冷え込みは避けられそうにない。

 「攻撃直前の行為だ」。岩屋毅防衛相は21日夜のBSフジ番組で、レーダー照射に危機感を示した。

 火器管制用レーダーは「FCレーダー」とも呼ばれ、ミサイルや火砲を発射する際、目標の距離や針路、速力、高度などを正確に捕捉し自動追尾する「ロックオン」に用いる。発射ボタンを押せば攻撃可能な状態だ。防衛省幹部は「米軍なら敵対行為とみなし即座に撃沈させてもおかしくない」と語る。

 複数の韓国メディアは韓国国防省関係者の話として「レーダー使用は遭難した北朝鮮船舶捜索のためで、海自の哨戒機を狙ったわけではない」と報じた。しかし、海自幹部は「意図しなければ起こりえない事態だ」と怒りをにじませる。

 日韓関係を考えると、レーダー照射は最悪のタイミングで起きたといえる。

 徴用工訴訟では、韓国最高裁の確定判決で賠償命令を受けた新日鉄住金に対し、原告代理人が24日までに回答を得られなければ、年内に韓国の資産の差し押さえ手続きに入る考えを示す。
 防衛関係でも、自衛艦旗「旭日旗」の掲揚自粛問題や、韓国軍による竹島(島根県隠岐の島町)周辺での訓練など、韓国側の不適切な行為が続いている。

 外務省幹部は「韓国の意図は分からないが、日韓関係が悪化して喜ぶのは中国や北朝鮮だ」と嘆く。
(石鍋圭、原川貴郎)
産経新聞 2018.12.21

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→「当該照射は火器管制レーダーによるものと判断」