ドアン・ティ・フォン

私は北朝鮮の男に利用された――。

 2017年、北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男(キムジョンナム)氏がマレーシアで殺害された事件で、正男氏の顔に毒入りの液体を塗ったとして殺人罪に問われたベトナム人、ドアン・ティ・フォン被告(30)の供述調書を朝日新聞はマレーシア司法関係者から独自に入手した。

「いたずら番組の撮影」の話を持ちかけたとされる男「ミスターY」

 計8時間の取り調べ内容が11ページにわたってつづられた調書は、事件の7週間前、ハノイのバーでの「ミスターY」との出会いから始まる。

 「韓国のいたずら番組カメラマン」を名乗るミスターYは、フォン被告が芸能人になりたがっていることを知っており、滑らかなベトナム語で番組出演をもちかけた。

 人に液体を塗るいたずらをするよう求められたフォン被告がテスト撮影で物おじするのをみて、ミスターYは「本番」を前に「撮影のために俳優を雇った」と説明。ためらいなく実行できるようにしたという。

ドアン・ティ・フオン、シティ・アイシャ
ドアン・ティ・フオン被告(左)シティ・アイシャ被告

 しかし、「いたずら」の内実は暗殺だった。ミスターYから渡された液体には猛毒が入っていた。死亡した「俳優」が正男氏で、番組も架空だったと知ったのは逮捕された後だった、とフォン被告は訴える。

 マレーシア捜査当局によると、ミスターYとその仲間は事件直後に出国し、北朝鮮に逃れた。マレーシアにはフォン被告と何も語らぬ正男氏の遺体が残された。

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事件後、急きょ北朝鮮に帰国した4人の工作員

 4月1日からはフォン被告の被告人質問が始まる予定だ。事件の全容はまだ見えないが、被告の供述調書からは、女性の夢につけ込み、自らは手を下さずに冷徹に任務を遂行するという北朝鮮の周到な暗殺工作の一端が浮かび上がる。(クアラルンプール=乗京真知)
朝日新聞デジタル 3/30(土) 

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キム・ウギル(37)とヒョン・クァンソン2等書記官(44)


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