豊明市沓掛町石畑9 母子4人殺人放火事件
左から長男佑基くん、母利代さん、愛犬ジャッキー、長女里奈さん、二男正悟くん

 ◇物証乏しく、未解決のまま15年 真犯人の行方と動機も謎のまま

 2004年9月9日。愛知県豊明市沓掛町石畑9の閑静な住宅街の一角で、母親と小学生から中学生までの子ども3人が殺害された事件は、未解決のまま15年を迎えました。

 殺害されたのはこの家に住む、母親の加藤利代さん(当時38)、長男の佑基くん(当時15)、長女の里奈さん(当時13)。そして、この日楽しい誕生日を迎えるはずだった二男の正悟くん(当時9)でした。

加藤正悟
誕生日に命を奪われた二男、正悟くんの将来の夢は「けいさつかん」

「ギャーというひと声で終わり。恐怖で叫んでいる声だった」(悲鳴を聞いた人)
 4人は刃物で刺されたり、鈍器で殴られたりして殺害され、その後、大量の灯油がまかれ、火がつけられたという残忍な犯行でした。

 財布や貴金属類などが残されていたことなどから、警察は4人に恨みを持つ者の犯行とみて捜査。
 しかし、現場が焼け焦げたため、物証が乏しく、15年が経った今も犯人逮捕には至っていません。

愛知県豊明市沓掛町石畑9
事件当時の現場の様子

 亡くなった加藤利代さんの姉・天海としさんは殺害された4人について、
「うそだ、うそだっていう、そういう気持ちですね。『どうしてうちの妹と(妹の)子どもたちなの』っていう」

 幼い頃から仲の良かったたった1人の妹、利代さん。さらに、自分の子供のようにかわいがっていた甥と姪までも一瞬にして奪われた天海さん。
 それから時は止まったままで、犯人に対する“怒り”と遺族が抱える“苦しみ”が和らぐことはありません。

豊明市 母子4人殺人放火事件

 ◇正悟くんがタイムカプセルに入れた「未来の自分宛の手紙」

 そんな天海さんに転機が。
 5年前、ある出来事をきっかけに正悟くんの新たな一面を知ることになったのです。

「正悟が幼稚園の年長さんの時に埋めていたタイムカプセルがある。事件があった時は(正悟が)小学校3年生で9歳、年長ですから6歳のとき」(天海としさん)
 事件の2年ほど前に正悟くんが未来の自分に宛てて書いた手紙が見つかったというのです。

 手紙には「大きくなったら」という質問に対し、「けいさつ。」と書かれていました。

「本当に感動して、号泣しちゃいました。はさみを入れて、開封して、手紙を開いたら、まず見たとたんにぱって閉じちゃったんですよ。あんなに甘えん坊で、お母さんのそばを離れなかった子が“警察”ってね。そんな正義感あふれる仕事に就きたかったんだなって思うとびっくりして」(天海としさん)

 その手紙の中には、未来の正悟くんに向けた母・利代さんからのメッセージもありました。

『正悟が私の背をはるかに越え、しかも私を助けられる程の大人になる時は、まだまだ想像がつきません』(未来の正悟くんに向けた母・利代さんからのメッセージ)

「やっぱり、最後の最後まで息絶えるその瞬間まで、子どもたちのことは気にしていたんじゃないかなと思う。(子どもを)守ってやれなかったことに対しては、悔いが残っていると思う」(天海としさん)

愛知・豊明市沓掛町石畑9 母子4人殺人放火事件

 事件から15年。残された天海さんは今も問い続けています。
「犯人にはなぜ、どうしてこんなことをしなくちゃいけなかったのか抱えててほしい。幼い子どもの命を奪った命の重みをもう一度、この15年は終わりじゃなく、始まりなんだって。(犯人は)できれば自首して 罪を償ってほしい」(天海としさん)
中京テレビNEWS 9/9(月)

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愛知警察署特別捜査本部 
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【愛知県豊明市】 母子4人殺人放火事件①
 →4人とも抵抗した跡や防御創がなかったことから、就寝中に襲われたものと思われる。父親の加藤博人さんはその日に限って日をまたいで残業をしていた。
【豊明市】 母子4人殺人放火事件② ある事件との共通点
 →普段見かけない尾張小牧ナンバーのハイエーススーパーGL(モスグリーン)が目撃されていた。

<通報~事件発覚>
午前4時5分頃、火災発生に気付いた加藤博人氏の兄が、加藤博人氏の勤務先に第一報を入れている。
午前4時25分頃、近隣の住人から119番通報があった。
午前6時10分、殺人放火事件が発覚。

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