せと弘幸BLOG『日本よどこへ』

 ◇10月12日、パナマ船籍の貨物船「JIA DE号」沈没事故発生

【動画概要】
 川崎市はこれまで、「川崎港・湾内での事故については、船主や代理店ではなく係留手続きを申請した会社に全責任がある」と一貫して説明してきました。

 今回、沈没したパナマ船籍の貨物船「JIA DE号」の係留手続きをしたのは(株)シュウホウです。
 この会社は、2015年11月に「川崎市営埠頭3号係船桟橋」で起きた火災により自力航行ができなくなった貨物船、「HONG YAN号」(カンボジア船籍)の撤去を行った宏洋商会の元従業員らが設立した会社です。

 HONG YAN号は川崎市の方針により船舶保険が適用されず、同桟橋で約9か月にわたって放置され、最後は係留手続きを行った宏洋商会が川崎市の命令により北九州の船舶代理店まで曳航したわけですが、その撤去費用と一連の報道を巡って宏洋商会が川崎市と神奈川新聞を提訴、第1回期日が10月15日16:00から開かれました。

HONG YAN号撤去 2016年8月
タグボートで曳航され北九州市の代理店へ(2016年8月12日)

 宏洋商会は川崎市から命じられて(火災船を)撤去し、その撤去費用を払ってもらえないがために経営が立ち行かなくなりましたが、川崎市に情報を渡し、その見返りとして港湾局の仕事にありついた(株)シュウホウが3年前の火災船の時と同じような問題の当事者になっているというのも皮肉なものです。

 火災船撤去の時のように川崎市条例を適用するとしたら、沈没船の引き揚げ、流出した重油の処理等は(株)シュウホウがすべてその責任を負うことになります。

 川崎市が条例を盾にサルベージ費用等は払わないと言っているわけですから、(株)シュウホウが推定3千万円の費用を捻出し、速やかに撤去して海洋汚染を食い止めなければ、海苔の養殖業者など周辺地域の被害も拡大する一方です。

JIA DE
10月12日に沈没した「JIA DE号」

 ◇宏洋商会vs川崎市の争点 「撤去費用を巡るFake情報」「名誉毀損」

 宏洋商会が川崎市(港湾局)を訴えた時に、市長は「宏洋商会はすでに代理店からお金をもらっています。我々はその証拠を握っていますし、その証拠を裁判所にも提出しました」と言い続けてきました。

 その書類の趣旨は二つに分かれるのですが、一つは九州の代理店(英利海運)からもらった書類※1で、これは(株)シュウホウ経由で川崎市に渡ったものです。

 さらに元宏洋商会の従業員が内山社長の私信(メール、FAX)※2の情報を無断で持ち出し、不正な入札で仕事をもらい便宜を図ってもらうことと引き換えに川崎市に提供したわけです。
⇒結局、その渡した情報(領収書等)というのは勘違いだったようです。

川崎港湾事業不正入札

 とはいえ、本来は、公正な入札を行わなければならないのに、(株)シュウホウに仕事が行くように操作したということが公になれば、窮地に追いやられるのは川崎市長や港湾局であり、(株)シュウホウに対して条例をかざして強気な命令を下すということも考えにくく、(株)シュウホウ側も「情報も提供したのに冗談じゃない。ふざけるな」と開き直る可能性は大いにあり得ます。

 ◇川崎市は条例を無視して船舶保険を使う方向で船主と交渉

 現在、川崎市は船の中国人オーナーに対し、「船舶保険を使って処理するから何とか協力してくれ」と交渉中で、沈没船の引き揚げ問題はすでに(株)シュウホウの手を離れたところで話が進んでいるようです。

MICS非公式BOT

JIA DE 沈没
JIA DE号の沈没場所は川崎市の管轄=京浜港川崎区K1錨地

●京浜港(横浜区・川崎区)における錨地図pdf)

 ◇沈没船は、海上保安庁の指示により東扇島沖3km地点で待機していた

 海上保安庁は、台風その他災害から船、あるいは港湾施設を守るために、指定の場所に船を誘導することになっていますが、JIA DE号はその誘導したところで沈没。
 海上保安庁による事故原因の検証等はまだ終わっておらず、公式発表も出ていませんが、一部の報道によると、船の過積載(3000トン)が沈没の原因ではないかという説も浮上しているようです。

 川崎市港湾局は、「3年前のカンボジア船とはケースが異なる、今回のパナマ船は、港から離れている」などと詭弁を弄しているようですが、海上保安庁の指示に従って移動し、船は係留料金を支払って「係留手続き中」のままであったことに変わりはなく、沈没場所の川崎区K1錨地も川崎市の管轄ですから、関係ないという主張は通用しません。

飯塚正良 川崎市議
陳情書を握りつぶした飯塚まさよし川崎市議

◆川崎市長らに対する提案と要望

①福田紀彦川崎市長は、弁明と事情説明の会見を開くべきである。
 ⇒川崎市長は、宏洋商会との裁判(10月15日)において、「条例は間違っていない、係留手続き申請をした会社に対して事故処理を命じるのが我々の義務であり、違法性もない」と言い切っていたわけであるから、今回の恣意的とも思える対応について謝罪のうえ、事情説明をする義務がある。

②環境委員会のボス、飯塚正良市議は、市長とともに会見するべき。
 ⇒このような問題が起きたときに「係留手続きをした会社に責任を負わせる」という川崎市の現行条例は、客観的にみて現実にそぐわない解決法であるから、改正が必要であるという陳情書を不採択にするよう根回しをした飯塚正良市議は、市民に謝罪し、保険の適用要件等の改定について善処することを約束すべきである。

 ◇神奈川新聞と川崎市長による名誉毀損裁判の第一回期日=11月1日

 11月1日、宏洋商会の内山社長が神奈川新聞社と福田紀彦川崎市長を訴えた裁判が横浜地裁で始まります。
《提訴の趣旨》
・神奈川新聞社は、川崎市が「内山氏は代理店からすでにお金をもらっている」と話していたことに対し、内山氏本人に一度も取材&確認をすることなく、事実ではない内容の記事を書き、同紙に掲載。
「原告(内山氏)が、すでに船主から本件船舶の撤去費用を受領していたにもかかわらず、二重請求をした」かのような内容の記事は、明らかな名誉毀損である。よって損害賠償を請求する。
・事実を報道するにあたって本人の承諾を一切得ないで報道された。
その報道により原告の会社(宏洋商会)は非常な損害を被った。よって損害賠償を請求する。

《備考》
■川崎市は、原告が二重取りをしたかのような書類を提出
 ⇒原告は否定
■川崎市が提出した18枚の証拠書類は別の商取引のもの
■神奈川新聞社の答弁書は1枚のみ、弁護士3名 
■川崎市:弁護士3名と役所の担当者連名
■抗弁:「原告の請求をいずれも棄却する」
■請求の原因に対する答弁書は追って提出



※錨地=船の碇を下して停泊させる所。

※港長=港において港則を執行する責任者。海上保安庁の指揮監督を受け、港則に関する法令に規定する事務を掌る。(海上保安庁法第21条第2項


FREEDOM

☆川崎市と神奈川新聞社を名誉毀損で訴えた裁判が11月1日に横浜地裁で10時より開催されます。
第4号はこの裁判の様子なども入れて発送するので、11月5日頃の発行となります。

年間購読料は3,600円となります。
お申し込みはメールにてお願いします。fukushimaseto@gmail.com