※ヘイトスピーチ規制法を成立させるにあたって罰則のない「理念法」としたことの根拠の一つに、「現行法の名誉毀損罪などで補完できるため」という説明がありましたが、いみじくもこの裁判で罰則付きの条例を設置しようとする川崎市の論理的不整合が浮き彫りにされる形になりました。

 川崎市の差別的ヘイト条例案は、法律と条令の序列の倒錯、「ヘイト」の基準が曖昧で具体性に欠け、運用にあたって不明確な所管、たらい回し式リダイレクトへの対応も不十分など多くの問題を抱えている危険かつ不公正な条例です。

(参考)
「川崎市差別のない人権尊重のまちづくり条例」
令和1年6月文教委員会-06月24日-01号
(せと弘幸BLOG『日本よ何処へ』記事中の後半部分参照)

 もとより法律を上回る形の条例は憲法違反であり、それを指摘されながらも恣意的な罰則上乗せ条例を強引に制定しようとしている川崎市の特殊な地域性、またこの憲法違反条例=在日特権条例を広く波及させようという勢力の意図も明確ですから、日本人としてこの流れは絶対に食い止めなければなりません。 *

(注)下記案件でヘイトスピーチ(民族差別)としなかった(出来なかった)理由について徳永弁護士はあえて言葉を濁したように見えましたが、仮に川崎市条例案が施行された場合、このようなケースも含め、新たな問題が浮上する可能性もあります。

■西村齊 京都朝鮮学園事件 有罪判決に控訴
徳永・岩原総合法律事務所 記者会見


 京都朝鮮第一初級学校(京都市南区、閉校)への差別的な発言で社会的評価をおとしめたとして、名誉毀損罪に問われた「在日特権を許さない市民の会(在特会)」元幹部西村斉被告(51)=右京区=に対して、京都地裁(柴山智裁判長)は29日、罰金50万円(求刑懲役1年6月)を言い渡した。

ヘイトスピーチ 名誉毀損


 起訴状では、2017年4月23日、同校跡地そばの公園で、拡声器を使い「ここに日本人を拉致した朝鮮学校があった」などと発言。動画をインターネット配信し、同校を運営していた学校法人京都朝鮮学園の名誉を傷つけた、としている。

 ◇「拉致問題についての発言は公共性、公益性が認められる」と判断

 量刑理由で、柴山智裁判長は「学校法人の名誉を害した被害は軽視できない」とする一方、日本人拉致問題についての発言について「公共性も公益目的も認められる」と判断した。
 事件を巡っては、京都朝鮮学園側が17年に告訴し、京都地検が18年4月に被告を在宅起訴した。学園側の弁護士によると、ヘイトスピーチを巡り、侮辱罪より刑罰の重い名誉毀損罪での起訴は全国初という。
京都新聞 11/29(金)

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