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 ◇減収56億円は全国ワースト 異例の吊り広告

 川崎市がふるさと納税対策に本腰を入れ始めた。ふるさと納税による市税減収は実質全国ワーストで本年度五十六億円に上る見込みだが、市民の六割以上がこうした実態を知らないことも判明。返礼品の拡充で市外からの寄付増を狙う「攻め」と、市民に実態を知らせる広報による「守り」で市税流出の増加を食い止めたい考えだ。

 「ふるさと納税によって流出している市税は、本来は、私たち川崎市民のために使われる貴重な財源です」
 川崎市税制課は十一月、市内を走るJR南武線と鶴見線の車両内に、こんなつり広告を出した。市税流出額が年々増えていることを示す棒グラフも添えた。

 昨年は十二月、固定資産税の納付時期を知らせる広告の一部に、ふるさと納税について掲載したが、今年はB3判のポスター全面を使って現状を訴えた。

川崎市 

 ポスターは間接的にふるさと納税を控えるよう求めているとも読めるが、担当者は「制度や利用者を否定するものではない。影響や実態を知ってほしい」と話す。ポスターは千八百枚つくり、市内の駅や金融機関、公共施設にも張り出している。

 地方自治体に寄付すると住民税が控除されるふるさと納税。進学や就職を機に地方から都市部に出る人が多い現状に対して、子どもの時期に住民サービスを提供するのに納税してもらえない地方側には、長らく不満があったとされる。

 出身地や愛着のある自治体を応援できる仕組みとして、地域振興を目的に二〇〇八年に始まったが、実際は返礼品目当ての寄付が主流になっている。

 川崎市民がふるさと納税を利用した場合、寄付先の税収が増える一方で、住民税を控除する市の税収は減る。こうした流出は一六年度の十二億円から本年度は五十六億円に増加。今後も増えることが見込まれるといい、市財政局の担当者は「本来市民サービスに充てるための税が返礼品に替わっている」と危機感を強める。

 福田紀彦市長は国に制度改正の要望を続けつつ「返礼品競争には参入しない」と強調してきたが、今年十月に初めて返礼品を拡充。

 サッカーJ1川崎フロンターレの選手サイン入りユニホームなど、地元色の強い返礼品で他自治体住民からの寄付獲得を狙う。一方で、市の担当者は「他の自治体の売れ筋は高級おせち料理なんです」と恨めしそうに話し、新たな返礼品のアイデアに頭を悩ませている。
東京新聞 2019年11月14日

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