ヒューストンの総領事館員はすでに撤収し(24日)、同日、米国務省外交保安局の職員が立ち入り調査を行った。領事館の外では、トラックに荷物を積み込む職員に対し、中国共産党に批判的な約100人の中国人活動家らがやじを飛ばす場面も。
REUTERS 2020年7月25日

ヒューストン中国総領事館
閉鎖されたヒューストンの中国総領事館

 ◇ガルベストン国立研究所のコロナワクチン研究がスパイの標的か

 米政府高官は24日、中国が米国内の在外公館を通じスパイ活動など悪意ある行動に従事しているとした上で、同日閉鎖されるテキサス州ヒューストンの中国総領事館は「最悪の違反ケースの一つ」で、関与していた活動は「容認できる線を超えていた」との認識を示した。

 国務省の高官は、ヒューストン総領事館の活動が中国の進める新型コロナウイルスワクチンの研究に関連していたと指摘。中国がコロナワクチン開発競争で首位に立ちたいという意志は極めて明確と述べた。

 同高官は標的となっていた可能性のあるワクチン研究の詳細には踏み込まなかったものの、テキサス州には国立アレルギー感染症研究所の主要施設に相当するガルベストン国立研究所があり、同所ではコロナワクチンの研究が行われている。

 米政府は今週、ヒューストンの中国総領事館閉鎖を命じた。米国の知的財産権と個人情報の保護が目的と説明していた。中国政府はこの日、対抗措置として、四川省成都市にある米総領事館の閉鎖を通知したと発表した。

成都 アメリカ総領事館閉鎖
中国は対抗措置として成都市のアメリカ総領事館を閉鎖

 司法省の高官は、いずれの国であれ領事館が一定の情報活動の拠点となっているという事実は受け入れるとしつつも、「ヒューストンの中国領事館の活動はわれわれが容認できる限度をはるかに超えていた」と語った。

 同時に、領事館関係者には外交特権が認められているため、刑事責任の追及は容易ではないとの見方を示した。

 同高官はさらに、当局が在サンフランシスコ中国総領事館に逃げ込んだ中国人研究者を拘束したと明らかにした。

 法廷文書によると、この研究者はカリフォルニア大学デービス校に勤務し、米国ビザを不正に所得した疑いが持たれている。

 司法省は前日、連邦捜査局(FBI)が国内約25都市で中国人民解放軍メンバーとみられる中国籍の米国ビザ保有者を聴取し、ビザに関する詐欺行為の疑いで3人を逮捕し、4人目が在サンフランシスコ中国領事館に逃げ込んでいるとしていた。
 
 また、国務省高官によると、両国間の緊張の高まりに反し、中国側は引き続き、新型コロナ流行を受けて中国から退避した米外交官らの中国帰還を容認しているという。
REUTERS 2020年7月25日

唐娟
サンフランシスコの中国総領事館に逃げ込んでいて逮捕された唐娟被告

 ◇米 “総領事館に逃亡”中国人を逮捕 軍との関係隠し入国か

 アメリカ司法省は、中国軍との関係を隠して入国ビザを不正に取得した疑いで調べていた中国人の女、唐娟が、サンフランシスコにある中国総領事館に逃げ込んだとしていましたが、24日この女を逮捕したことを明らかにしました。

 逮捕されたのは、去年12月にアメリカに入国し、カリフォルニア大学デービス校で研究活動を行っていた中国人の女です。

 アメリカ司法省は、中国人民解放軍の将校や研究者ら合わせて4人が軍との関係を隠したうえで入国ビザを不正に取得し、アメリカの大学に留学していたとして、虚偽の申告などの疑いで3人を逮捕しましたが、残る女1人はサンフランシスコにある中国総領事館に逃げ込んだとしていました。

 司法省は23日の声明で、中国総領事館が唐娟をかくまっていると批判していましたが、司法省の高官は24日、記者団に、この女を逮捕したことを明らかにしました。

 ただ、総領事館に逃げ込んだとする唐娟をどのように逮捕したのかなど詳しい状況については説明していません。

 アメリカ司法省やFBI=連邦捜査局は、中国政府が最新の科学技術情報などを盗み出すために、軍の科学者や研究者をひそかにアメリカの大学に送り込んでいると警戒していて、国内に滞在する中国人を対象に軍歴などを偽っていないか調査を進めています。
NHK NEWS WEB 2020年7月25日


米国はすでに戦争準備行動に移行している

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