橋下徹

 あれだけ莫大な税金を使っておきながら、また同じことを問うつもりなのか。

 5月に住民投票で否決された「大阪都構想」に、大阪府と大阪市で合わせて31億7852万円もの税金が使われていたことがわかった。

 大阪市が開示した資料によると、都構想の事務局に携わった「大阪府市大都市局」職員の人件費の総額が23億5494万円。5月17日の住民投票でかかった投開票所経費などが6億3496万円。さらに、住民説明会のパンフレット作製費などに1億5152万円、住民説明会関係経費に3160万円がかかっている。

 この事実を29日、朝日新聞が報じると、案の定、橋下徹大阪市長がツイッターで「都構想の制度設計にかかる費用は大阪都になればもちろん発生しない。朝日は比較して報じるべきだ」と噛みついた。

橋下徹 メディアにケンカを売りながら注目を集め、世論を誘導していくやり方は橋下氏の常套手段。11月22日投開票のダブル選挙についても「これまでに類を見ない政権・政策選択選挙となるだろう」と、大げさにあおっている。
 都構想をめぐっては、橋下氏率いる大阪維新はダブル選挙で再挑戦する方針だ。テレビCMをバンバン垂れ流し、31億円超も使って一度選挙で結論を出したものを、改めて問い直すことに、大阪府民の多くは「ええ加減にしいや」と呆れている。

 ジャーナリストの櫻本幸吉氏はこう言う。

「維新の会にとり、ダブル選で争点にできることは『都構想』しかないんです。橋下氏が選挙に出るならまだしも、松井一郎氏(知事選出馬予定)も吉村洋文氏(市長選出馬予定)も人気がなく、発信力が弱い。そこで、橋下氏自らがメディアとケンカすることで“橋下信者”に訴え、浮動票を取り込もうとしているんでしょうが、非常に厳しい戦いになるでしょう」

 打つ手がなく、まさに断末魔の叫びなのか。橋下氏が吠えれば吠えるほど、府民の気持ちは離れていきそうだ。
日刊ゲンダイ 2015/09/30