【ブリュッセル共同】
 オランダ・ハーグの常設仲裁裁判所は29日、中国による南シナ海の領有権主張は国際法に違反するとしてフィリピンが求めた仲裁手続きについて、同裁判所に管轄権があるとの判断を示した。仲裁手続きを拒否している中国の主張を退けた形。

 裁判所は今後、フィリピンの主張内容に関する審理を続け、来年にも最終的な判断を示す意向を示した。

 中国は審理に参加していないが、裁判所は中国政府が2014年12月に発表した仲裁に関する「中国政府の立場」を説明する文書の内容を検討。両国間の争いは、仲裁裁判所の管轄権が及ばないとする中国の立場を退けた。仲裁裁判は一方の当事国が手続きを拒否しても審理が進む。中国は裁判でなく、2国間協議による解決を訴えている。

 フィリピン外務省は30日、「さらなる審理が進められることを楽しみにしている」として、中国の領有権主張の不当性が認められることに期待を示した。