※2016年の初号機以来、4年の間に米国側の難癖にも等しいダメだしにより何度も設計変更や生産体制等の変更を強いられ、挙句に産業スパイの暗躍によりカナダのライバル会社(ボンバルディア)との裁判闘争に巻き込まれるなど、紆余曲折の果てに、最後は当て込んでいた納入先の需要もコロナ禍で壊滅状態となって事業凍結。

 三菱重工は国産飛行機の生産に当たって2016年にトヨタと新会社を設立してトヨタ型生産方式(「かんばん方式」「あんどん」)を取り入れています。
 自動車部品の30倍とも言われる飛行機の部品製造にあたってトヨタ系の部品工場の再編や新規雇用の拡大などもすでに行われており、事業凍結による影響はこれまで投じた莫大な開発費の損害だけにとどまらず、関連下請け企業の生産体制や優秀な技術者の国外流出(とくに中国)などにも波及していくものと思われます。 *

国産飛行機 絶望的

 三菱重工業が国産初のジェット旅客機スペースジェット(旧MRJ)の開発費や人員を大幅に削減し、事業を凍結する方向で最終調整していることが22日、複数の関係者への取材で分かった。新型コロナウイルスの流行が直撃し、納入先の航空会社の需要回復が当面見込めないと判断した。巨額の開発費を投じ、官民で約半世紀ぶりの国産旅客機を目指したが、ノウハウ不足で6度納期を延期していた。国の産業政策にも大きな打撃となりそうだ。

スペースジェット

 30日に発表する中期経営計画で詳細を説明する。今後は航空需要の動向を見ながら、事業を再開するかどうかを検討するとみられる。
共同通信 10/22(木)

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 → 在庫を極力持たない「かんばん方式」や、不具合があった時にラインを緊急停止して不良品を抑える「あんどん」などトヨタ生産方式を取り入れる。

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