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 ◇花角英世氏「なんとかゴールできた」 僅差にヒヤヒヤ

 10日投開票の新潟県知事選は、事実上の与野党一騎打ちの戦いを与党候補が制した。新潟県の大型選挙で敗北を重ねてきた与党にとって、大きな意味を持つ一勝となった。

 平成28年10月の前回知事選も事実上、与野党一騎打ちの構図。元長岡市長を擁立した与党は、共産、自由、社民の野党3党が推薦した米山隆一前知事の前に屈した。

 平成28年7月の参院選(改選数1)でも、野党共闘候補で無所属の元職、森裕子氏=民進、共産、社民、生活推薦=にわずか約2千票差で競り負け、返り咲きでの3選を許した。

 かつて「保守王国」といわれた新潟の地も、近年は野党共闘の効力を実証する地となっていた。

 前回知事選では、東京電力柏崎刈羽原発(同県柏崎市、刈羽村)の再稼働問題が主な争点となり、反原発の姿勢を明確にした米山前知事が勝利した。

 今回は与野党候補とも米山前知事が始めた検証作業を継承するとして慎重な姿勢を示し、前回ほど大きな争点にはならなかっただけに、両陣営の戦い方が試された選挙戦だった。

 初当選を果たした元副知事で元海上保安庁次長の花角英世氏(60)は与党色を薄め、「県民党」で臨んだ。自民、公明の推薦は受けず、支持にとどめた。大物議員の応援演説はほとんどなく、新潟県入りしても組織固めの“黒子”に徹した。

池田千賀子
無党派層を拾いきれず惜敗した池田千賀子氏

 一方、元県議の池田千賀子氏(57)には最初の選挙サンデーから、野党5党1会派の国対委員長らが応援演説に駆けつけ、森友・加計学園問題を追及。官僚出身の花角氏を「官邸の言いなりになる」と批判した。2日には各党派の党首がそろい踏みした。市民団体の集会やSNS(会員制交流サイト)なども活用した。

 いわば、“地上戦”に徹した花角氏が、“空中戦”を仕掛ける池田氏をかわし、逃げ切った選挙戦だったといえる。

「こんなにも大変な選挙とは全く思わなかった。なんとかゴールできた」
 当選確実となり、新潟市内のホテルで万歳三唱を終えた花角氏は選挙戦を振り返った。与党も何とか勝利したとはいえ、結果は最後まで分からない僅差だった。来年の統一地方選や参院選では、野党統一候補と与党候補の事実上の一騎打ちが多発する見通しだが、与党にとって楽観視できる結果ではなかった。

 新潟県が抱えるのは、原発再稼働問題だけではない。人口減少や地盤沈下する経済、停滞する農業と課題が山積している。“花角丸”は船出するが、前途洋々とまでは言えない状況だ。(池田証志)
産経ニュース 6/11(月) 

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