※既遂ではなく、「危害を加える恐れがある」から朝鮮学校周辺だけでなく最寄駅でも街宣活動を禁止などということになれば、「表現の自由に対する重大な侵害」もなし崩し的に拡がっていく流れになると思われます。

 一方で、いわゆる《沖縄左翼》らによる「YANKEE GO HOME!」「FUCK YOU!」など、日常的な交通妨害や過激な運動が保護されるというならば、法的解釈、運用において明らかに偏向、矛盾が生じることになりますが、その件についてどう判断されるのか注目されます。

 この矛盾の構図は、川崎市における「表現・言論の自由を考える会」に対し、「ヘイトスピーチを許さないかわさき市民ネットワーク」の共同代表が暴力をもって勉強会の開催を阻止、扇動した件についても当て嵌まります。  *

北区 朝鮮中。高校
李春熙弁護士(中央)、金生華教務部長(右):司法記者クラブ

 ◇朝鮮学校周辺の街宣禁止、東京 最寄り駅も、仮処分決定

 朝鮮学校を侮辱する街宣活動を学校の最寄り駅前で行うことについて、学校側から禁止する仮処分を申し立てられていた東京地裁は7月5日、「申し立ては相当」と認め、街宣活動などを禁じる仮処分を出した。

 同日、申立人の代理人を務めた李春熙弁護士らが東京・霞が関の司法記者クラブで会見し、明らかにした。李弁護士は「この種の排外主義的なスピーチで仮処分が出たのは、4例目」と指摘。最寄り駅前での行為を禁じた裁判所の判断は、注目すべきポイントだという。

朝鮮総連本部を更地にする会

●生徒に危害が及ぶ恐れ
 代理人によると、朝鮮学校は、東京都北区にある「東京朝鮮中高級学校」(学校法人東京朝鮮学園)。仮処分を出されたのは「朝鮮総連本部をさら地にする会」の代表代行の個人。

 学校の最寄り駅であるJR十条駅前で複数回、大声で街宣活動をされ、生徒に危害が及ぶ恐れから、下校ルートを変更するなどの対応を取らざるを得なかったとしている。

 学校側は4月頃から、街宣活動が十条駅前で不定期に行われていることを認識。6月15日に校内で開催される文化祭「アンニョンハセヨ2019」と同じ日に、街宣活動が計画されていたことから弁護士に相談し、仮処分の申し立てをしていた。
弁護士ドットコム 2019年07月05日


netgeek

 ◇収益目的で誹謗中傷記事を拡散、名誉毀損で「ネットギーク」を提訴

「扇動的で過激な見出しで閲覧誘うまとめサイトnetgeek(ネットギーク)」

 記事によって名誉を傷つけられたとして、ITコンサルタントや大学教授ら男女5人が8日、インターネットのサイト「netgeek(ネットギーク)」のサイト運営者に対し損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。

「バイラル(感染的な)メディア」を自称する一方で、運営者の情報を一切明かさず、誹謗(ひぼう)中傷を含んだ記事を量産してきたネットギーク。沖縄関連でも市民運動を侮辱する表現を使って記事を拡散し続けている。

 「バイオハザードより怖い。沖縄基地反対派がフェンスをガンガン揺らす様子」「沖縄に集まった基地反対派のプロ左翼、行動がサルと同じだと話題に」

 ネットギークの沖縄を巡る記事で付けられたタイトルの一部だ。同サイトで沖縄関係の記事は確認できるだけで27本あるが、多くに扇動的で過激な見出しが躍っている。

 ネットギークはサイト上に掲載される広告収入を得て運営している。ネット利用者がページを閲覧するだけで運営者に広告収入が入り、閲覧数が増えれば増えるほど利益が膨らむ仕組みだ。

 琉球新報が入手したサイトの内部資料「netgeek編集ルール」によると、サイトが重要視していたのは記事のタイトルの付け方だとされる。文書は「タイトルが面白いとそれだけでシェアされる」とし、(1)注目されるキーワードを入れる(2)大げさにする(3)「衝撃の結末が」など、ついクリックしたくなる(内容の)隠し方をする―などのこつが記された。

 訴訟の中心となっているITコンサルタントの永江一石さんは「広告収入を稼ぐ上で、『ネトウヨ風』の記事の方が閲覧が多いと思ったのだろう。(記事が過激になる)そのはしりが沖縄関係の記事だったと思う」と分析する。

 永江さん自身も、ツイッター(短文投稿サイト)でたばこを嫌う投稿をした際、その内容をネットギークが記事にし「常識では考えられないような奇行」「自己中心的で頭がおかしい」などと記された。ネットギークによる個人攻撃によって被害を受けた人の中には、ネット上で中傷されたために収入が減った人もいる。

 永江さんは「ネットギークは運営者の情報を明かさず、収入のために個人をおとしめてきた。(ネットには)匿名なら何をしてもいいという感覚があるかもしれないが、この状況を放置できない」と語った。
 サイトを運営しているのは30代男性とみられる。琉球新報は昨年11月下旬以降、運営者の男性にメールや電話で取材を申し込んでいるが、回答はない。

 (池田哲平)
琉球新報 2019/4/11