東北の山火事の記事から分離させ、再掲いたします。
 筆者は福島県民ではありませんが、こういう悪質なデマは日本人として本当に許せませんね。

        *        *

紀伊民報
 [山火事で放射性物質が飛散するとした、地方紙「紀伊民報」のコラム(2日付)]


 ◆浪江の火事でネットにデマ情報→「放射性物質拡散」→「陳謝」

 東京電力福島第1原発事故で帰還困難区域になっている福島県浪江町の国有林で発生した火災をめぐり、インターネット上で放射性物質の拡散や、健康不安をあおる無責任な書き込みが相次ぎ波紋を広げている。

 一部地方紙はコラムで「放射性物質飛散」の可能性を指摘。
 実際は裏付けのない誤った情報だったが、福島県が火消しに動かざるを得ない状況となっている。

 4月29日に発生した山林火災は浪江、双葉両町に広がり、少なくとも約20ヘクタールを焼いた。
 発生1週間を過ぎた6日に鎮圧状態となった。ただ、火災をめぐっては、ネット上で不確実な情報が今も飛び交っている。

 短文投稿サイトのツイッターでは、火事により「(放射性物質が)花粉のように飛散する」といった危機感をあおる書き込みが多数見られる。

 福島第1原発を視察した主人公が鼻血を出すなどの描写で物議を醸した漫画「美味しんぼ」の原作者、雁屋哲さんは自身のサイトに「福島で森林火災・強風により放射性物質飛散中」と題する文章をアップした。

 和歌山県南部を拠点とする地方紙「紀伊民報」は2日付(1日発行)の1面に、石井晃編集局長のコラムを掲載。知人経由の情報とした上で「放射能汚染の激しい地域で山火事が起きると、高濃度の放射線物質が飛散し、被ばくの懸念がある」とし、「政府も全国紙も、この現実にあまりにも鈍感過ぎるのではないか」などと記した。

 しかし、火災現場近くの3カ所に設置されている可搬型の放射線監視装置(モニタリングポスト)では、火災の前後で空間線量率に大きな変動はない。

 ◇「周辺環境に影響が及んでいる事実は一切ない」(県担当者)

 福島県の担当者は「双葉町や大熊町などに設置されている既存のモニタリングポストでも大きな変化は確認されていない。周辺環境に影響が及んでいる事実は一切ない」としており、県のホームページでも、こうした事実関係を説明している。

 東京工業大の松本義久准教授(放射線生物学)は、「原発事故直後、植物の表面に降った放射性物質(セシウム)は、風雨で流されたり、落ち葉や生え替わりによって多くが土壌に蓄積されたりしているとみられる。植物内部に放射性物質はほとんど残存していない状況といえ、草木が燃えることで放射性物質が風で拡散されるということは考えにくい」とする。

 今回の騒ぎを受け、紀伊民報は9日付(8日発行)の同紙に「数多くの批判を頂いた」「陳謝する」などとしたコラムを掲載。

 石井編集局長は産経新聞の取材に、「除染のできていない山林で火災が起き、放射性物質の拡散を心配して書いた文章だった。だが不安は杞憂であり、それによって多くの方に心配をかけ、迷惑を与えたことは申し訳なく思っている」と語った。
産経ニュース



kariya2

漫画「美味しんぼ」の原作者・雁屋哲氏
 平成26年4月28日発売の『ビッグコミックスピリッツ22・23合併号』に掲載された『美味しんぼ
の中で、「福島第一原発の見学から帰った主人公らが原因不明の鼻血を出した」と描写。放射線と鼻血の因果関係を仄めかし不安を煽ったとしてネットユーザーからも非難を浴びた。
(ねとらぼ平成26年4発28日より)

 この「福島の真実」と副題のついた
雁屋哲氏の漫画『美味しんぼ』の《福島差別発言騒動は、福島県で果樹園を営む瀬戸弘幸氏らによる小学館への抗議行動へと繋がった。

※尚、この『美味しんぼ』騒動につきましては、瀬戸弘幸著『福島原発事故と左翼』p.77より詳細な経緯が書かれています。
――「美味しんぼ問題」の本質は、“福島県民に対する偏見と人権侵害”である。