西部邁

 21日午前6時40分ごろ、東京都大田区の多摩川河川敷で、「男性が川に飛び込んだようだ」と110番通報があった。
 駆けつけた警視庁田園調布署が男性を救助し、病院に搬送したものの、まもなく死亡が確認された。
 死亡したのは評論家の西部邁(すすむ)さん(78)で目撃情報などから自殺とみられ、同署で当時の状況を調べている。

 同署によると、西部さんに着衣の乱れや目立った外傷などはなく、付近では遺書のような文書も見つかった。

 西部さんが21日未明から行方不明になっており、同居していた家族が探していたところ、多摩川に流されている西部さんを発見したという。

 現場は東急東横線多摩川駅から西に約600メートルの野球のグラウンドやサッカー場などがある河川敷近く。
産経新聞1/21(日)


■西部 邁(にしべ すすむ)
 1939年(昭和14年)3月15日 - 2018年(平成30年)1月21日)
 日本の保守派の評論家、元経済学者、雑誌『表現者』顧問、元東京大学教養学部教授。東大入学から全学連の中央執行委員として指導的役割を果たす。後に保守に転向。『朝まで生テレビ』などでは、保守派の論客として各方面から常に一目を置かれる存在であり続けた。

※数年前から「神経痛で手が冷えるから」と、黒と白の手袋を使い分けて常に着用していたこと、奥さまを亡くされてからどことなく寂しそうに話す姿が目に焼き付いています。
 頭脳明晰で語彙が豊富な西部先生の独特な言い回しや西部語録もたくさんある中で、なぜか強く印象に残っているのは「天皇はマージナルマンである。自分もまたマージナルマン的存在である」という言葉です。
 心よりご冥福をお祈りいたします。(合掌)


※重症のガンに冒され、死の淵に立つ妻――生と死の深淵を見据えつつ、女とは、男とは、夫婦とは、人生とは何か、名誉とは、孤独とは、祖国とは何かを根源から思索する、自死の予感をも孕む、感動的作品。(2008年/8月)