※タイでの集団感染の前例があるにもかかわらず、K-1 を強行開催。会場内で多数の感染者が出て、さらに外部で感染が一気に拡大した場合、その責任は誰がとることになるのでしょうね。
 いまのところ、埼玉県の感染者は54人(21日現在)ですが、首都圏の医療機関、交通網、各種イベント等に多大な影響が出るのも時間の問題です。早急に規制地域の指定含め、法的拘束力のある特措法を整備すべきです。 *

■埼玉県内の感染54人、うち1人死亡(3月22日現在)
K-1
さいたまスーパーアリーナ、K-1強行開催(終日)

 ◇「K-1」イベント22日決行 埼玉

 新型コロナウイルスの影響で全国各地のイベントや集会が中止になる中、プロ格闘技「K-1」の祭典「WORLD GP」は予定通り、22日にさいたまスーパーアリーナ(さいたま市)で開催される。

 内外の人気ファイターらが参戦するK-1最大級のイベント。主催者は感染予防対策として、来場者にマスクを配布するほか、入場時の体温確認、手洗い・うがいの励行を呼びかけて興行を決行する。同アリーナでは2月から今月にかけて、人気アーティスト、米津玄師らの公演が中止や延期になっている。
産経新聞 3/21(土)

タイ

◇「無観客措置」も手遅れ…格闘技で集団感染-タイ

 タイの首都バンコクは3月21日、市内のデパート(食料品店や日用品除く)や娯楽施設などの営業を3週間禁止すると発表した。それに先立ちタイ政府は入国規制の厳格化も発表した。

 これまで規制が比較的緩やかだったタイだが、地元当局がここにきて相次いで厳格な措置に踏み切っている。その背景にあるのは、1週間前から始まった感染者数急増への危機感だ。そして急増の主要因の一つが、タイの格闘技「ムエタイ」競技場で発生した集団感染である。

 体が衝突するたびにリング上に飛び散る汗。両手両足を使って様々な技を繰り出す選手たち。立ち技の世界最強格闘技といわれるタイ式のキックボクシング「ムエタイ」のワンシーンだ。

 タイの国技である格闘技「ムエタイ」の二大殿堂の一つ、ルンピニー・スタジアムで3月6日に行われた試合で集団感染が発生していたことが分かった。
 他の競技場でも感染が発覚し、現時点でムエタイ絡みの感染者数は観客やその家族など合わせて125人に上っているが、政府はさらに数百人が感染している恐れもあるとみていて、事態は深刻だ。

 この試合会場には当時、有名な俳優やタイ軍関係者、有力政治家、そして大勢のファンが来場していた。感染発覚が遅れたこともあり、潜在的な感染者はすでにタイ全土に広がっている。
 タイ当局は参加者の追跡を最重要課題と位置づけていて、封じ込めに必死だ。

 ルンピニー・スタジアムは集団感染が起きた4日後にも、試合を行っていた。主催者は、その日から感染者対策として試合を無観客に変更していたが、こうした措置は既に手遅れだった。

 ◇ムエタイ関連の感染はタイ全体の2割に

 ムエタイ格闘技場での感染は、ルンピニー・スタジアムだけではない。二大殿堂のもう一つ「ラジャダムナン・スタジアム」でも、ファンの感染が発覚したほか、別の試合会場でも感染が起きていた。

 ムエタイの3つの会場での感染者合計は125人(3月22日時点)に上る。タイ全土の全感染者数が599人なので、実に2割がムエタイ関連の感染者だ。ルンピニー・スタジアムでは、既に数百人が感染しているおそれもあるため、その数はさらに増える可能性が高い。

 ◇密室空間で応援…集団感染に

 なぜムエタイ競技場で集団感染が起きたのか。
 格闘技の試合会場では、大勢の観客が密閉された空間に長時間留まる。そして、隣の人と密着した状態で座り、ひしめき合いながら声援を送る。

 地元客の中には絶叫しながら、熱心に選手を応援する人も多い。
 多くの人が会場内で行われている「賭け事」に参加し、賭けた選手が勝つよう必死で応援するからだ。会場内にいた全ての人は、濃厚接触の状態に置かれていた。

バンコク 人影とネオンが途絶えた歓楽街
人影とネオンが消え、歓楽街は真っ暗

 ◇バンコクも事実上“封鎖”

 連日の感染者急増に危機感を抱くタイ当局は、ここにきて入国制限や商業施設の営業禁止など、相次いで厳しい対策に踏み切っている。

 タイ政府は22日から、タイに向かう航空機に搭乗する際、日本を含む感染拡大国からは、新型コロナウイルスの感染リスクがないことを証明する健康証明書の提示を義務付けた。
 これは「非感染証明書」と同様であり、健常者に検査を行っていない日本で取得するのは難しく、タイ当局による事実上の入国制限となっている。

 またバンコク首都圏は22日から、商業施設(食料品・日用品以外)や娯楽施設などの営業を3週間禁止すると発表した。禁止の対象は、ほかにも教育機関やジムなど幅広い項目が並ぶ。

 生活に欠かせないスーパーマーケットや食料品店、コンビニエンスストアは通常営業で、飲食店に対しては、持ち帰りや宅配のみ営業を認めている。しかしタイ国内では、不安に思った人たちが、一時的にスーパーに殺到した。

 現地の日本人社会にも不安が広がっている。タイには7万人以上の日本人が住んでいるが、現状では日本に一度帰国したらタイに戻ることは出来ない。

 学校や塾は閉鎖され、レストランやカフェでの飲食もできない。
 タイは今、最も暑い季節にあり、昼間の気温は35度を超す日も多いため、外を散歩するのもままならない。それは同様に事実上の封鎖状態にあるマレーシアやフィリピン、インドネシアなどに住む日本人も同じだろう。

社会的距離
社会的距離を保つための試み 提供:バンコク都庁広報

 ◇社会的距離を保つのが重要

「誰が感染しているか分からない。人混みに近づかないでほしい」
 タイのアサウィン都知事は21日、こうテレビで市民に対して呼びかけた。
 タイでも新型コロナの感染を防ぐために、社会的距離(ソーシャル・ディスタンシング)を取るよう求められている。
 つまり人々が互いに物理的な距離を保って、濃厚接触を避けるための手法だ。すでにバンコクでは、エレベーターなどでも、距離を取るための工夫がなされている所もある。
 これ以上の感染を食い止めるため、そして自分の身を守るためにも、こうした「社会的距離」を一人ひとりが意識するのが大事だ。

【執筆:FNNバンコク支局長 佐々木亮】
FNN 3/22(日) 

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