※情報戦にもならないお粗末さ。 *

イラン国旗

 ◇ミサイル攻撃で80人の「米テロリスト」が死亡=イラン国営TV

[ドバイ 8日 ロイター] - イラン国営テレビは8日、同国がイラク国内の米関連施設に15発のミサイルを発射し、少なくとも80人の「米国のテロリスト」が死亡したと報じた。迎撃されたミサイルはなかったとしている。

 国営テレビによると、イラン革命防衛隊の幹部は、米国が反撃すれば、イランには域内に他に100の攻撃目標があると発言。

 国営テレビによると、ミサイル攻撃で米軍のヘリコプターと軍事施設が「激しく損傷」した。

 国営テレビはさらに、トランプ米大統領がイランのミサイル攻撃について「万事順調だ」とツイッターに投稿したことについて、被害を軽く見せようとしたものだと報じた。
ロイター 1/8(水)


ヘサメディン・アシェナ大統領顧問

 ◇米国が反撃すれば、中東の全面戦争につながる=イラン大統領顧問

「米国が軍事行動で反撃すれば、地域の全面戦争につながる。ただサウジは別の道を行くかもしれない。完全な平和を享受できるかもしれない!」

 イランとサウジアラビアは過去数十年間、イラク、シリア、イエメンなど中東地域で「代理戦争」を繰り広げているが、イランは繰り返し、サウジにイランとの関係改善を求めている。
Nwesweek 2020年01月08日


トランプ大統領
トランプ大統領「万事順調」(動画あり)

 ◇トランプ大統領「イラン攻撃で米将兵死者なし」「万事順調」

[バグダッド/ワシントン8日:ロイター] - イランは8日未明、米軍が駐留するイラクのアル・アサド空軍基地に複数のロケット弾を発射した。

 この数時間前には、米軍の空爆によって殺害されたイラン革命防衛隊の精鋭「コッズ部隊」のソレイマニ司令官の葬儀が行われ、軍や政府の高官が米国への報復を誓っていた。

 イランのヘサメディン・アシェナ大統領顧問は8日、「米国がイランのミサイル攻撃に反撃すれば、中東地域の全面戦争につながる」とツイッターに投稿した。

 同顧問は「米国が軍事行動で反撃すれば、地域の全面戦争につながる。ただサウジは別の道を行くかもしれない。完全な平和を享受できるかもしれない!」と述べた。

アサド空軍基地 イラク

 米国防総省によると、米国主導の有志連合軍が駐留する少なくとも2か所のイラク軍基地に対し、イランから十数発の弾道ミサイルが発射された。

 イラン国営テレビによると、イラン革命防衛隊は、ソレイマニ司令官殺害の報復としてロケット弾を発射したと認める声明を発表。これ以上の死者を出さないよう米国は地域から撤退したほうがよいと表明した。

 イラン最高指導者当局の高官は、国内テレビに対し、今回のミサイル攻撃は、複数の対米反撃シナリオのなかで「最も弱い」シナリオだと語った。

 米国防総省のホフマン報道官は、声明で「攻撃による初期の被害状況を調査している」と説明した。
 攻撃されたのはアル・アサド空軍基地とエルビルにある基地という。そのうえで「状況と対応策を判断したうえで、米国人、パートナー、地域の同盟国を守るため、必要なあらゆる措置を講じる」と述べた。

 トランプ米大統領は7日、イランのミサイル攻撃について、被害状況の確認を進めており、8日午前に声明を発表すると述べ、ツイッターに「万事順調だ!」と投稿した。報道官によると大統領は国家安全保障チームと協議しているという。

 ある関係筋は米国側に負傷者はいないもようだと語った。他の米当局者らはコメントを控えた。

マーク・エスパー国防長官

 エスパー米国防長官は7日の国防総省での記者会見で、「イランが何らかの方法や形で報復すると予期すべきだ」と語っていた。イランが支援する国外の代理勢力あるいは「イラン自身の手」によって行われる可能性があるとした。

「あらゆる不測の事態に私たちは備えている。イランがどのような行動に出ても、適切に対応する」と続けた。

 イランのザリフ外相は、イラクの米軍駐留基地にロケット弾を8日に発射したことを受け、イランは事態の激化や戦争を求めていないとツイッターで表明した。その上で、イランはいかなる攻撃に対しても自衛すると付け加えた。

 ミサイル攻撃のニュースを受けてアジアの株式市場は急落し、安全資産とされる円や金が買われた。米原油先物CLc1は一時5%近く急伸した。ただ、その後はトランプ氏とザリフ氏のツイートを受け、ややもし直している。

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ロイター 2020年1月8日


イラン ガセム・ソレイマニ司令官

 ◇イラン司令官、死につながった米軍攻撃計画の内幕

[3日 ロイター] - 10月中旬、イランのガセム・ソレイマニ少将は、イラクのシーア派民兵組織の協力者と会合を開いた。
 場所はチグリス川河畔にあるバグダッドの別荘で、対岸には在バグダッド米国大使館のビルが並ぶ。イラクに駐留する米軍への攻撃を画策し、やがて自らの死を招く事態につながる戦略会合だった。

<イラン批判の矛先を米国に向ける>

 革命防衛隊を指揮するソレイマニ司令官は、イラク側協力者のトップであるアブ・マフディ・アル・ムハンディス氏を初めとする民兵組織有力幹部に、イランが提供する先進的な兵器を使ってイラク駐留米軍への攻撃を強化するよう指示した。この会合について報告を受けた2人の民兵組織幹部、2人の治安当局者がロイターに語った。

 会合が開かれたのは、イランの影響力拡大に反発するイラク民衆の抗議が勢いを増していた時期だった。放置すれば、イランに居心地の悪い注目がさらに集まる懸念があった。

イラン司令官の殺害現場
ソレイマニ司令官らが殺害されたバグダッドの空港で、燃えている車

 ソレイマニ氏には、米軍に対する武力反撃を挑発し、イラク国民の怒りの矛先を米国に向ける狙いがあった、と上記の情報提供者、シーア派のイラク政治家、アデル・アブドゥル・マフディ首相に近い政府当局者らは語る。

 同司令官の策動は、最終的に、3日の米国による攻撃を誘発した。彼自身とムハンディス氏は首都バグダッドに向かう途中、搭乗する車列が空爆を受けて死亡し、米国・イラン両国間の緊張は一気に高まった。

<米側に顔が割れていない兵士を組織>

 この会合の2週間前、ソレイマニ司令官はイラン革命防衛隊に対し、2カ所の対イラク国境検問所を経由して、自走式多連装ロケットランチャーやヘリコプター撃墜能力のある携行式ミサイルなど先進的な兵器をイラクに移動させるよう命じた、と民兵幹部やイラク治安当局者は話した。

 さらに同氏は、別荘に集まった幹部らに、イラク軍基地に駐留する米軍に対するロケット弾攻撃を実施できる新たな民兵グループを組織するようもとめた。米国側に顔の割れておらず、目立たないメンバーであることが条件だった。

 会合について報告を受けた民兵組織関係者によれば、ソレイマニ司令官は、ムハンディス氏によって設立されイランで訓練を受けた軍団「カタイブ・ヒズボラ」に、この新たな計画の指揮を執るよう命じたという。

「(こういうグループなら)米国側に探知されにくいだろう」
 ソレイマニ司令官は会合参加者にそう語った、と民兵組織関係者の1人は言う。

 米国政府当局者が3日、匿名を条件にロイターに語ったところでは、今回の攻撃の前に、米情報機関は、イラク、シリア、レバノンなど複数の国で米国民を攻撃する計画の「最終段階」にソレイマニ司令官が関与していたと信じるべき証拠をつかんでいたという。
 ある米政府高官は、ソレイマニ司令官は「カタイブ・ヒズボラ」に先進的な兵器を供給していたと発言している。

 ホワイトハウスのロバート・オブライエン国家安全保障問題担当顧問は3日、記者団に対し、ソレイマニ司令官はダマスカスから戻ったところであり、「(そこで)彼は米国の陸空海軍・海兵隊の将兵、外交官らに対する攻撃を計画していた」と語った。

軍事用ドローン
サウジの石油施設を破壊した軍事用ドローン

<ドローンで標的を下見>

 革命防衛隊「コッズ部隊」を率いるソレイマニ司令官は、イラン国外での秘密作戦の立案者として、中東におけるイランの軍事的影響力を拡大することに貢献していた。62歳のソレイマニ少将は、アヤトラ・アリ・ハメネイ最高指導者に次ぐ国内ナンバー2の有力者と見なされていた。

 元イラク国会議員であるムハンディス氏は、イラクの「人民動員隊」(PMF)を統括していた。PMFは、イランの支援を受けたシーア派民兵を主力とする民兵組織の統括団体で、以前はイラク正規軍に公式に統合されていた。

 ムハンディス氏はソレイマニ司令官と同様、以前からずっと米国の警戒対象になっており、すでに米国は同氏をテロリストとして認定していた。2007年、クウェートの裁判所は同国で1983年に発生した米国・フランス大使館爆破事件に関与した罪により、欠席裁判ながら同氏に死刑判決を下している。
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コッズ部隊

 中東地域における米軍攻撃の中核としてソレイマニ司令官が選んだのは「カタイブ・ヒズボラ」だった。
 民兵組織幹部の1人がロイターに語ったところでは、ドローンを使ってロケット弾攻撃の標的を偵察する能力を備えていたからだという。

 この民兵組織幹部によれば、ソレイマニ司令官指揮下の部隊が昨秋イラク国内の民兵に供給した兵器の1つが、イラクが開発した、レーダーによる監視システムを回避できる能力を備えたドローンだったという。

 民兵組織の動きを監視している2人のイラク治安当局者によれば、「カタイブ・ヒズボラ」は、ドローンを使って米軍部隊が配備された地点の空撮映像を収集していたという。

<米軍への攻撃は増加・高度化>

 イラク国内では、米軍部隊が駐留する基地に対しイランの支援を受けた組織による攻撃が増加、その手段も高度化していた。ある米軍高官は12月11日、あらゆる当事者が統御不可能なエスカレーションへと追いやられている、と語った。

 この高官の警告の2日前には、バグダッド国際空港近くの基地に4発のロケット弾が着弾し、イラクの精鋭部隊であるテロ対策部隊(CTS)の隊員5人が負傷した。
 この攻撃についてはどの組織も犯行声明を出していないが、ある米軍当局者は、情報機関による活動及びロケット弾・発射機に関する現場検証によれば、イランの支援を受けたシーア派ムスリム民兵組織、特に「カタイブ・ヒズボラ」と「アサイブ・アフル・アル・ハック」の関与が疑われると話している。

 12月27日には、イラク北部の都市キルクークに近いイラク軍基地を狙って30発以上のロケット弾が発射された。この攻撃により、米国の民間請負業者1人が死亡し、米軍・イラク軍の軍人4人が負傷した。

 米国政府はこの攻撃を「カタイブ・ヒズボラ」によるものとして非難したが、同組織は否認している。米国は2日後、「カタイブ・ヒズボラ」に対する空爆を行い、少なくとも民兵25人が死亡、55人が負傷した。

 こうした攻撃は、2日にわたって、イランの支援を受けたイラク民兵組織の支持者による暴力的な抗議行動を引き起こした。彼らは米国大使館の境界に押し寄せ、投石した。これを受けて米国政府は同地域に増援部隊を派遣し、イラン政府に対し、実力行使をほのめかすに至った。

 1月2日、つまりソレイマニ司令官殺害の前日、マーク・エスパー米国防長官は、予想されるイラン支援下の民兵組織による攻撃から米国民の生命を守るため、予防的な行動を取らざるをえない可能性があると警告した。

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ロイター 2020年1月7日

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