志水史雄、キム・ヨングク
志水史雄アジア大洋州局参事官(左)とキム・ヨングク軍縮平和研究所所長

 政府は14日、安倍晋三首相と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長による日朝首脳会談を通じた日本人拉致問題の解決を目指し、動きを本格化させた。

 ◇志水氏とキム氏が非公式に意見交換

 北東アジアの安全保障問題を話し合う国際会議が開かれているモンゴル・ウランバートルで日本の担当者が北朝鮮側と接触。

横田早紀江 首相は、拉致被害者家族連絡会(家族会)の横田早紀江さん(右)らと面会し、米朝首脳会談でのトランプ米大統領による拉致問題提起を踏まえ、「あとは日本の問題として北朝鮮と直接向き合い、問題を解決していく決意だ」と表明した。

 外務省によると、モンゴルで14日に始まった国際会議「ウランバートル対話」に派遣した同省の志水史雄アジア大洋州局参事官が、北朝鮮のキム・ヨングク外務省軍縮平和研究所所長と短時間、意見交換した。

 日本側は、拉致問題について2国間交渉によって早期解決を目指す立場を伝えた。北朝鮮側の反応について、外務省幹部は「(従来の姿勢と)大きな変化はなかったようだ」と語った。

飯塚耕一郎、飯塚繁雄
[田口八重子さん長男・飯塚耕一郎氏(左)と八重子さん長兄・飯塚繁雄氏]

 首相官邸で首相と面会した家族会の飯塚繁雄代表は「問題は、いかに確実に早く結果を出していくかだ。解決に向けて具体的な施策を打っていくことをお願いする」と要請。
 これに対し、首相は「拉致問題は日朝の問題だ。日本が主体的に解決していかなければならない」と強調した。

 首相は米朝会談の結果に加えて政府の対処方針も説明。家族会は政府から要請を受けたとして内容を明らかにしなかった。
時事ドットコム 6/14(木)

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 ◇米韓、日朝対話を支持=北朝鮮非核化へ3カ国連携

 日米韓3カ国の外相会談が14日、ソウルで開催された。
河野太郎 河野太郎外相は「日本は北朝鮮と拉致問題を含むさまざまな懸案を話し合う用意がある」と述べ、日朝対話に意欲を表明した。米国のポンペオ国務長官と韓国の康京和外相は理解を示し、支持する考えを伝えた。

 会談後、河野氏は記者団に対し、「拉致問題は日朝が直接話し合う必要がある。日本としては、それに向けたさまざまな準備をしていく用意がある」と強調。安倍晋三首相と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長による日朝首脳会談の実現を目指し、調整を進める考えを示した。

 日米韓会談では、12日の米朝首脳会談で正恩氏が「完全な非核化」を約束したことを受け、今後の対処方針を協議。北朝鮮に「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化(CVID)」を実現させるため、日米韓が緊密に連携することを確認した。
時事ドットコム 2018/06/14

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 →「拉致問題を前進させていくか、しっかりと見極める必要がある。今の段階で制裁を解除することは全く念頭にない」‐拉致被害者家族会集会(2018)

拉致被害者家族会集会

【拉致問題国民大集会】安倍晋三首相あいさつ要旨(2017)
 →「トランプ米大統領に拉致問題の早期解決に向けた協力を求めていく。拉致問題についても世界に訴え、北朝鮮に拉致問題の早期解決に向けた決断を迫っていく」