キャロライナ・リーパー(Carolina Reaper)
キャロライナ・リーパー(Carolina Reaper)

 世界一辛い唐辛子を食べた米国人男性が「雷鳴のような激しい頭痛」に襲われた事例を研究した医師らが、英医学誌ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(BMJ)の症例報告データベース「BMJ Case Reports」に報告を投稿し、一般市民に唐辛子を食べる際には注意するよう呼びかけた。 

 報告によると、2016年に唐辛子コンテストに参加したニューヨークの男性(34)が 「キャロライナ・リーパー(Carolina Reaper)」と呼ばれる唐辛子を一つ食べたところ、すぐに吐き気を覚え、首と頭部に激しい痛みが発生した。
 その後数日間、「雷鳴のような激しい頭痛」が数秒間続く症状が繰り返し発生したという。 

 男性は救急治療を受け、神経系の検査を受けたが結果は陰性だった。 
 最終的に医師らは男性の症状を一時的に脳への血管が攣縮(れんしゅく)する可逆性脳血管攣縮症候群(reversible cerebral vasoconstriction syndrome、RCVS)と診断した。 

BMJ症例報告
食後、脳動脈の中部、後部の血管が収縮し狭くなっている(左)

「BMJ Case Reports」に9日付で公開された症例報告の著者によれば、唐辛子を食べてRCVSと診断されたケースは初めてだという。 
 RCVSはある種の処方薬や違法薬物を摂取した際にも起きることがあり、「雷鳴頭痛」とも呼ばれる激しい頭痛を伴う。 

キャロライナ・リーパー(Carolina Reaper)
唐辛子の断面(2011年3月撮影、同年7月26日公開、資料写真)

 同報告書の制作者の1人で、米デトロイト(Detroit)のヘンリー・フォード病院(Henry Ford Hospital)の クロトゥンガン・グネセカラン(Kulothungan Gunasekaran)医師は 「(この症例に)誰もが驚いた」と述べて唐辛子をもてあそぶことの危険性を警告し、唐辛子を食べるときは注意を払い、このような症状が現れたらすぐに治療を受けるよう促した。(c)AFP
 AFP  4月10日
sciencealert.com

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 ◇世界一辛い唐辛子発見(2007年当時)
  sciencedaily.com

 2007年10月2日、ニューメキシコ州立大学の研究者が世界一辛い唐辛子=Bhut Jolokia(ブート・ジョロキア)を発見し、Guiness World Recordsを獲得。(American Society for Horticultural Science

Bhut Jolokia

※ブート・ジョロキア(Bhut Jolokia)
 北インド(アッサム州、ナガランド州、マニプル州)およびバングラデシュ産のトウガラシ属の品種。
 2007年にギネス世界記録でハバネロ(およびその栽培品種レッドサヴィナ)を抜いて世界一辛い唐辛子として認定されたが、現在はキャロライナ・リーパーが一位。

 当時もっとも辛いとされた「ドーセット・ナガ」はバングラデシュのシレットからブート・ジョロキアの種を持ち帰りイングランドのドーセットで育てられたもの。現在、インド産とバングラデシュ産の間で同種・異種を巡り議論が行われている。

分類:キダチトウガラシ (Capsicum frutescens) かシネンセ種 (Capsicum chinense) かで意見の相違がみられ、DNA鑑定の結果では双方の遺伝子が見られた。
 熟した実は長さ60mmから85mm、幅25から30mmで色はオレンジまたは赤。ハバネロに似るが表面はザラザラしており凹凸がある。