空き缶の義足の少女
マヤ・メルヒ(Maya Merhi)さん(8)

【AFP=時事】先天性四肢切断のため、生まれつき下肢がないマヤ・メルヒ(Maya Merhi)さん(8)はこれまで、プラスチック製の管材と空き缶でつくられた義足でシリア国内の避難民キャンプを渡り歩いていた。

 しかしAFPがシリアで撮影したものを含むマヤさんの姿を捉えた写真が世界で反響を呼び、トルコ・イスタンブール(Istanbul)の病院で治療を受けられることになった。マヤさんの人生は変わろうとしている。

 イスタンブールの病院でマヤさんの主治医を務める義肢の専門家メフメト・ゼキ・チュルジュ(Mehmet Zeki Culcu)医師は「マヤさんは歩けるようになる」と語った。
「神のおぼしめしがあれば3か月以内に」

 マヤさんは元々シリアのアレッポ(Aleppo)県南部の田舎で暮らしていたが、7年にわたるシリア内戦でトルコに来る直前まで北西部イドリブ(Idlib)県の避難民キャンプで父親と共に暮らしていた。

 マヤさんの義足は父親のモハマド・メルヒ(Mohammad Merhi)さん(34)が作ったものだった。モハマドさんもマヤさん同様、先天性四肢切断のために生まれつき下肢がない。モハマドさんにはマヤさんの他に5人の子どもがいるが、先天性四肢切断はマヤさんだけだという。

 マヤさんが避難民キャンプ周辺を苦労して歩く写真は世界中に大きなインパクトを与えた。
 これを受けてトルコ赤新月社(Turkish Red Crescent)が介入に乗り出した。
 2人はトルコ当局によってシリアからイスタンブールに移送され、専門病院で治療を受けることになった。

 父親と同様、マヤさんは歩くよりはった方が速く移動することができた。しかし最近受けた下肢を短くする手術によってはって移動することが困難になった。

 ◇父の想いで苦痛を希望に

 モハマドさんはイスタンブールの病院でAFPの取材に応じ、「手術の後、娘は動き回ることができず、テントの中でずっと座っていました」と語った。
「娘をテントから連れ出すため、強く当たらないようにスポンジ素材を詰めた管材を娘の下肢に付けることを思いつきました」

「それから、ツナの缶詰の空き缶2つを(管材の先に)付けました。プラスチックでは地面との摩擦に耐えるだけの強度が不足していましたから」

 この急ごしらえの義足でマヤさんはテントの外を歩けるようになったばかりか、自力で避難民キャンプの学校に通うこともできるようになった。モハマドさんは、マヤさんの義足のプラスチック製の管材を月1回、空き缶は週1回交換しているという。

空き缶の義足 少女
イスタンブールの病院に到着したマヤさんと父親のモハマド・メルヒさん(中央)

 車いすに座った父親が取材に応じている間、マヤさんは、この数日間の経験にとまどっている様子で父親の腕に抱かれていた。モハマドさんにも義足が提供されることになっているが、何よりも気がかりなのは娘の将来のことだという。

 モハマドさんは「(自分のことよりも)娘が歩けるようになることの方が大切です。そうすれば自立できますから。私たちにとって生まれ変わったようなことになるでしょう」と語った。
「娘が苦痛なく歩き、登下校する姿を見るのが私の夢です」

 手作りの義足で歩くマヤさんの写真にひどく心を打たれたと言うチュルジュ医師は、マヤさんとモハマドさんの義足の費用を肩代わりすることに決めたという。
 チュルジュ医師は「世界中の人たちから寄付の申し出がありました。しかしこの問題はもう片付いています。私が費用を負担します」と語った。

 チュルジュ医師は、「マヤさんが使っていたものを本当の意味で義肢と呼ぶことはできません。彼女が歩くための間に合わせのものです」と話したが、マヤさんが実際に歩いていた以上、モハマドさんがイドリブの避難民キャンプで手作りした義足は大きな恩恵をもたらしていたといえると指摘。
「何も持たないモハマドさんは死にものぐるいのエネルギーで苦痛を希望に変えたのです」と語った。
【翻訳編集】 AFPBB News 7/1(日)

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