【6月29日 AFP】リビア沖で救出された移民数十人を乗せたまま、長期にわたってイタリア沖に停泊を余儀なくされていた移民救助船が、同国にあるランペドゥーサ（Lampedusa）島への入港を強行した。同団体が明らかにした。
ドイツの非政府組織（NGO）「シーウオッチ（Sea-Watch）」が所有するオランダ船籍の救助船「シーウオッチ3（Sea-Watch 3）」リビア沖で12日、ゴムボートに乗った移民53人を救出して以降、地中海沖に猛暑の中とどまっていた。
救助船に乗船していた移民のうち、弱っている人々は上陸が許可されていたが、イタリアの対移民強硬派、マッテオ・サルビーニ（Matteo Salvini）副首相兼内相は、それ以外の移民は受け入れないとの意向を明らかにしていた。
シーウオッチの広報担当者はAFPの取材に対し、救助船が28日夜、許可が下りないないまま港に入り込んだ後、ドイツ人船長、カロラ・ラケッテ（Carola Rackete、31）さんが拘束されたと述べた。
ラケッテさんは許可なしに入港した後、軍の船からの指示に従わなかったとして逮捕された。禁錮3年～10年の刑が科せられる可能性があるという。
ラケッテさんは抵抗をみせず、手錠を掛けられることもなく車両に乗せられて連行された。
乗船したままとなっていた移民40人は、29日午前に下船を認められ、島内の移民受付所に移送されたという。
救助船は沿岸警備隊が掌握しており、再び港の外に移され、沖合に停泊させられている。
伊日刊紙レプブリカ（La Repubblica）によると、ラケッテさんが救助船の入港させようとするのを阻止するため、沿岸警備隊のボートが埠頭（ふとう）と船の間を往来したものの、救助船はかいくぐって入港したという。
警察官の一人はソーシャルメディアに投稿した動画で、「われわれは（救助船が）入港するのを阻止するために針路をふさいだ。もしわれわれがとどまっていたら、（救助船が）われわれの高速ボートを破壊していただろう」と語っている。
ランペドゥーサ港の埠頭では、支持者や活動家が集まり、救助船やラケッテさんに拍手を送ったものの、ラケッテさんの逮捕を歓迎し、「手錠を掛けろ！」「恥を知れ」「うせろ！」と叫ぶ人々もいた。
シーウオッチはツイッター(Twitter)への投稿で、「われわれが緊急事態を宣言してから60時間近くが経過したが、誰も耳を傾けないし、誰も責任を取らない。移民40人を安全な場所に移動させるのは再度、われわれ、キャロラ・ラケッテ船長と船員たちの義務となった」と述べている。(c)AFP
オランダ船籍の移民救助船「Sea-Watch」
AFP 2019年6月29日
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