※三宅雪子さんが亡くなってから五か月になります。三宅さんは、長期にわたるネットストーキング、福祉活動や持病、過去の自殺未遂に関する誹謗中傷、殺意のこもった呪いの言葉などで眠れない日々が続いた末の覚悟の自殺だったようです。
 日々付き纏われ、一挙手一投足監視される、そんな中でも、社会的弱者の方々のことを気に掛けるような心優しい人でしたが、どんなに嘆き悲しんでも失われた命は帰ってきません。

 言葉は時に凶器になります。相手を傷つけたい、苦しむ姿が見たいという感情に任せ、心を引き裂くような残酷な言葉を投げつける人間が放置されているような社会には救いがありません。
 芸能人や有名人だけでなく、一般人に対してであっても、匿名の裏に隠れて執拗に誹謗中傷をすることで憂さを晴らすような下劣な卑怯者は、法的にも社会的にも相応の制裁を受けてしかるべきです。 *

藤井美穂
藤井美穂さん

 ◇国もSNS中傷への対策に乗り出す方針

 フジテレビのリアリティー番組「テラスハウス」に出演し自宅に遺書を残して死亡した女子プロレス選手、木村花さん(22)は生前、ツイッターなどでの誹謗(ひぼう)中傷に悩んでいた。

 ネット上での攻撃性の高い匿名の書き込みには、これまで多くの人が被害に遭っていたが手続きの煩雑さもあり泣き寝入りすることが多かった。

 だが、木村さんの死をきっかけに同じような被害者も声を上げはじめ、国もSNS中傷への対策に乗り出す方針だ。

 藤井美穂さんはSNSに顔や体の写真などを掲載している。しかし、ツイッターには、毎日のように外見や体形を中傷するコメントが相次ぎ、多いときには一日に30件に上ることもあった。

 「すべてのツイートにネガティブなコメントをしてくる」というほど執拗(しつよう)な人もいたという。藤井さんは「鬱陶しい」とは感じつつも、さほど気にせず、無視をしたり、特定のユーザーの書き込みを非表示にする「ミュート」機能を使ったりしてかわしてきた。

 ときには言い返すこともあり、「その方が注目も集まり、私のメッセージが広がる」と考えていたが、木村さんの件をきっかけに考えが変わった。

 「(中傷した人が)罪を償わなければ、やる人が減らない。社会にとってもよくない」

 《法的措置を取ろうと思います》

 5月24日、自身のツイッターにそう書き込んだ。すると、これまで藤井さんを攻撃していた複数の人から、謝罪のメッセージが届いたという。書き込みやツイッターのアカウントを消す人もいた。「かわいそう」「謝っているのに」という声もあったが、厳しく対処する姿勢を貫く。

 ■「償ってほしい」

 「ネット上にある私のほんの一面をとらえて中傷をしている。中傷をかわすのは難しい。これまで中傷されてきた私だって、かわいそうじゃないですか。自分がしたことはちゃんと償わなければならない」

 ネット上の中傷問題に詳しい清水陽平弁護士によると、中傷書き込みを行う側の動機は、「『見ていて不快だった』や『ほかの人もやっていた』など、深い理由はない」とする。

 書き込みやアカウントを消した場合でも、発信者を開示し、法的に責任を追及することは可能で、「証明のために、キャプチャーやPDFで保存するべき」と指摘する。また、藤井さんのケースのように書き込んだ側が謝罪をしたとしても「訴えを取り下げるかは被害を受けた人の気持ち次第」といい、「責任を簡単に逃れられるわけではない」としている。

 ■現行法では救済不十分

 ネット上での匿名の攻撃的な書き込みに対し、投稿者の開示請求をすることはできるが、時間や費用がかかるなど、被害者が責任を追及するのは簡単ではないのが現状だ。現行法では、抑止効果や被害者救済が十分ではなく、政府は悪意のある投稿を抑止する制度改正を検討している。

 投稿者情報の開示手続きを定めた「プロバイダー責任制限法」は、被害者が投稿者の特定につながるIPアドレスなどの開示をプロバイダー側に求めることができるとしている。

 だが、開示されない事例も多く、裁判手続きに移行すれば費用が膨らむほか、期間も1年以上かかるケースもある。IPアドレスが開示されても、使用者を特定するために携帯電話会社に名前などの開示を求めなければならない。

 総務省の「違法・有害情報相談センター」には昨年度、5千件を超える相談が寄せられ、平成22年度に比べ、相談件数は約4倍に増加。こうした状況を受け、総務省は4月に有識者会議を設けて議論に着手。投稿者を特定する手続きを簡略化するほか、発信者の特定を容易にするために携帯電話番号を開示対象に含めることも検討している。(橘川玲奈、大渡美咲)
産経新聞 5/31(日) 

木村花
亡くなった当日の木村花さんのインスタ

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