孫政才(スン・チョンツァイ)

 ◇薄熙来(ポー・シーライ)氏の失脚と類似の構図

【北京時事】
 中国共産党中央は、重大な規律違反の疑いで、孫政才(スン・チョンツァイ)・前重慶市党委員会書記(53)に対する調査を行うと決定した。国営新華社通信が24日伝えた。

 政治局員である孫前書記は「習近平国家主席の後継候補の一人」と目されてきた。
 秋の第19回党大会で最高指導部メンバーである政治局常務委員に昇格すると予想する見方も出ていたが、失脚した。

 現職の政治局員の摘発は2012年の薄熙来(ポー・シーライ)・同市党委書記以来で、習指導部では初めて。反腐敗闘争を旗印としてきた習氏は、2期目の指導部人事を決める党大会を控え、さらに自らの権力基盤の強化を図っているもようだ。

 孫氏は農業相や吉林省党委書記を歴任し、49歳の若さで政治局員となり、重慶市トップである市党委書記に就任。
 胡春華(フー・チュンフア)・広東省党委書記(政治局員)と並ぶ「次世代の指導者候補」と位置付けられてきた。
 15日に習氏と近い陳敏爾氏が後任となる人事が発表されたが、孫氏に関しては新たな役職が発表されず「拘束されたのではないか」という情報が出ていた。

 新華社は、孫氏の具体的な容疑を伝えていないが、収賄など汚職に関与した疑いで調査を受けるとみられる。
 孫氏に対しては「薄元書記時代から続く組織的な不正に対する取り組みが不十分」と批判する声もあった。

 また、6月に重慶市の副市長兼公安局長を解任された何挺氏も重大な規律違反の疑いで摘発されたと伝えられており、孫氏の失脚と関連している可能性がある。

 孫氏の妻は、失脚した令計画・前党中央弁公庁主任(収賄などの罪で無期懲役判決)の妻と親密だったとされ、この関連で嫌疑を受けていると臆測する見方もある。
時事ドットコム(2017/07/24)


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※孫政才については、「官位を金で買ったり」、「汚い金の取引をしたり」という腐敗体質が昔から取り沙汰されており、劉雲山の息子との取引や、温家宝(国務院総理)の夫人への「貢ぎ物」(広大な土地)などによって凄まじい勢いで昇進してきたことでも有名である。(『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』より)