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●失踪当日の吉野瀬川(上太田)ライブカメラ画像:14:00~14:50=10分間隔
→通常より20~30㎝程度増水していた模様

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 ◇シートベルトの留め金は掛かった状態、ドアは半ドア、スマホは助手席に

 福井県越前市上太田町のラーメン店「くいしんぼ」裏の駐車場から同市下四目町(しもしめちょう)、会社員田中了士さん(30)の長男蓮くん(3)の行方が分からなくなってから16日で1週間となる。

 越前署は事故、事件の両面で調べており、警察、消防、蓮くんの家族の知人ら数百人が連日、駐車場近くを流れる吉野瀬川の流域や現場周辺を捜索しているが、手掛かりは得られていない。

黒いアルファード
蓮くんは黒いアルファードの助手席にシートベルト掛けて座っていた

 ◇蓮くんは父了士さんのスマホでアンパンマンの動画を観ていた

 越前署によると、蓮くんは9日午後2時ごろ、了士さんが勤める同市上太田町の会社へ一緒に行った。了士さんは車を会社裏の駐車場に止め1人で社内へ。
 助手席にいた蓮くんは、会社に着く前から父親のスマートフォンで大好きなアンパンマンの動画を見ていた。用事を済ませた父親が車に戻ると既に姿はなかった。10分ほどの間だった。

 エンジンはかけたまま。鍵は掛けていなかった。装着していたシートベルトは留め金に掛かり、助手席側は半ドアの状態だった。
 スマートフォンは助手席に置いてあり、会社の同僚らによると、動画は止まっていたという。
 蓮くんの家族は「アンパンマンが映っていれば、いつもじっと見ていた。何かの弾みで動画が止まってしまい、車から出てしまったのだろうか」と肩を落とす。


 ◇失踪当時=みぞれ混じりの雨、警察犬雨で進まず

 駐車場の南側に流れる吉野瀬川は、車からのり面まで6、7メートルほど。
 川に落ちた可能性もあるとみて、警察や消防は当初から流域を重点的に探索してきた。
 しかし、流された場合、比較的脱げやすい靴やフード付きジャンパーを含め、蓮くんに結びつく物は見つかっていない。

吉野瀬川

 ◇150m下流の監視カメラでも確認できず、転落の痕跡もない

 現場から150メートルほど下流には県の河川監視カメラが設置され、行方不明になった時間帯の1分間隔の静止画データを越前署が確認したが、手掛かりになる画像はなかった。駐車場近くの鑑識作業でも転落した痕跡などは見つかっていないという。

 110番通報を受けて間もなく、警察犬が駐車場周辺を捜したが数メートルしか進まなかった。
 当時降っていた雨で、においが消えたとみられる。
 半径1キロを対象とした聞き込みや関係者への聴き取り、約20台からデータ提供を受けた防犯カメラの映像からも有力な手掛かりは得られていない。

田中蓮くん(3)

 ◇5万枚のチラシを町中に、祖父田中康雄さん(54)は会社に泊まり込み

 了士さんが勤める会社によると、警察や消防に加え、蓮くんの家族の知人や同僚ら毎日百数十人が川沿いの探索や情報提供の呼び掛けに当たっている。

 本人の画像を入れたチラシはこれまでに5万枚以上作製。
 市内各戸に配布したほか、電柱、駅、ショッピングセンター、公共施設など至る所に張られている。

 最近作ったチラシなどには祖父の康雄さんらの連絡先を入れており、14日には10件以上の電話があった。
「越前町内の食堂に同じような年齢の子どもと老女が来ていた」という情報もあり、防犯カメラの映像を見に行ったが別人だった。
 しかし「多くの人に関心を持ってもらえるのは、ありがたいこと」と前向きにとらえている。

 康雄さんは発生以来、会社に泊まり込んでいる。
「目をつぶると、ひっついてくる蓮の姿が浮かんでくる。生きている可能性を信じている。早くこの手で孫を抱きしめてやりたい」
福井新聞 2017年12月16日

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福井県警越前警察署 生活安全課
0778-24-0110

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