・「夫婦別性」は婚外子が増え、家族の絆を断ち切り、伝統的家族制度や社会福祉の基盤を破壊。
・「○○家の墓」が消え、子孫の姓もバラバラ、無縁仏になる可能性も。

竹田恒泰

 ◇事実婚夫婦の妻の3人が、国を相手に損害賠償を求める訴え→「棄却」

 夫婦別姓の婚姻届が受理されず、法律婚ができないのは違憲だとして、東京都世田谷区在住の大学教員の事実婚夫婦と東京都在住の事実婚夫婦の妻の3人が、国を相手に損害賠償を求めた第二次夫婦別姓訴訟で、東京地裁(大嶋洋志裁判長)は10月2日、原告の訴えを棄却する判決を言い渡した。原告側は控訴する意向を示している。

 訴状によると、原告側は夫婦同姓を義務付けた民法750条は、同姓を希望する者と別姓を希望する者を差別していると訴えていた。別姓で婚姻できないために、法律婚夫婦にのみ与えられている法的権利や利益、夫婦としての社会的承認を享受することができないと指摘。法の下に平等を定める憲法14条1項の「信条」による差別があるなどと主張していた。

 原告側の訴えに対し、国側は2015年の最高裁判決から現在にいたるまで、事情変更はないとして全面的に争っていた。

 ◇2015年の最高裁判決以後、地裁での敗訴は3件目

 夫婦別姓をめぐっては、法務省が1991年から法制審議会民法部会において、婚姻制度の見直しをスタート。5年に及ぶ審議を経て、1996年には選択的夫婦別氏制度の導入を提言する答申を行なっている。

 ところが、国会で法制化が進まず、選択的夫婦別姓を求める人たちが第一次夫婦別姓訴訟を提訴。最高裁まで争われたが、2015年12月に夫婦同姓を義務付けた規定は「合憲」であるという大法廷判断が示された。

 その後、約3年を経て今回の第二次夫婦別姓訴訟が東京地裁と立川支部、広島地裁でそれぞれ提訴された。立川支部の判決は11月14日、広島地裁の判決は11月19日に予定されている。

 なお、これら第二次夫婦別姓訴訟以外にも、ソフトウェア企業「サイボウズ」の社長、青野慶久氏らが、戸籍法の改正を求めた夫婦別姓訴訟が東京地裁で3月に敗訴。
 現在、東京高裁で争われているほか、連れ子再婚した弁護士とその妻が原告の夫婦別姓訴訟も9月に東京地裁で敗訴、原告は控訴の意向を示している。
弁護士ドットコムニュース編集部10/2(水)

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