※「赤ちゃん工場」「赤ちゃん農場」などと呼ばれる人身売買組織、ネットワークの存在が明るみになったのは2003年頃のようですが、その後も摘発されるたびに場所を変え、今もなお広域で続けられているようです。
 →ナイジェリアの犯罪件数で人身売買は詐欺、麻薬に次いで3番目に多く、1日に10人以上の子供が売られていると推定されています。

 2017年に、「中国詐欺団とナイジェリア詐欺団が連携した混成詐欺集団が資金洗浄などでノウハウを共有し、世界各国で暗躍している」のが確認されていますが、中国の人権・人命を軽視した臓器移植・売買の実態を考えると、すでに人身売買の分野でも連携が進み、出産前の胎児(胎盤)も“商品化”されている可能性も否定できません。(参考:中国で胎盤の闇売買が横行) *

赤ちゃん工場 妊婦

【AFP=時事】ナイジェリアの最大都市ラゴス(Lagos)の警察当局は2日、生まれた子を販売する目的で妊婦に出産を強要する、いわゆる「赤ちゃん工場」を新たに発見したと発表した。
 ラゴスではこの数日前、別の地域の「赤ちゃん工場」数か所から、妊婦19人が救出されたばかりだった。

 当局によると、警官が施設から逃げ出した少女や妊婦ら7人を保護。その後、イソロ(Isolo)地区にある助産施設を発見した。

 ラゴス警察はAFPの取材に、「妊婦7人がバスの停留所で待っているとの秘密情報を受け、警察官が向かって妊婦らを保護した」と説明。
「事情聴取の後、女性らは自らを施設内で妊娠させられた20人(の一部)だと話し、全員が先月30日の夜に脱走したと語った」という。

 今回発見されたのは年齢が13歳から27歳の女性7人のみで、警察は残りの13人が他の場所に逃げたとみている。

 イソロの施設について警察は、「後に販売する赤ちゃんを生ませるため、若い女性が妊娠させられる収容所」と説明。
「この非人間的で凶悪な犯罪」に関与した者を追っているとした。

 警察がAFPに対して先月30日に明らかにしたところによると、先月19日に違法な助産施設として使用されていた市内の建物4か所で強制捜査が行われ、少女を含む妊婦19人と赤ちゃん4人が救出された。
【翻訳編集】 AFPBB News 10/5(土) 

ナイジェリア 赤ちゃん工場の女性保護

 ◇ナイジェリアで人身売買 「赤ちゃん工場」摘発

 【ナイロビ共同】ナイジェリアからの報道によると、警察当局は9月30日、最大都市ラゴスで妊娠中の女性19人と赤ん坊4人を保護し、女性たちを監禁していた女2人を逮捕したと発表した。女性たちを無理やり妊娠させ、生まれた赤ん坊を売買する「赤ちゃん工場」だったと地元紙は報じている。

 警察によると、保護された女性は15~28歳の地方出身者。
「ラゴスで仕事があるとだまされ、連れてこられた」と話している。携帯電話を取り上げられ、建物の外に自由に出られなかった。複数の男に性行為を強要されて妊娠したという。  
共同通信  2019/10/1


ムーンライト・マタニティ・クリニック
「新生児たちは数千ドルで売られ、母親は200ドル」:AFP

 ◇ナイジェリア、「赤ちゃん製造工場」の実態と背景

【9月23日 AFP】ナイジェリアのムーンライト産婦人科クリニック(Moonlight Maternity Clinic)の経営者ベン・アクプダシェ(Ben Akpudache)氏(74)は、新生児を売っているという疑いについて「話すことは何もない」と、AFPに語った。

 南東部の都市エヌグ(Enugu)の店が立ち並ぶ地域にひっそりとあるムーンライトクリニック。その小さく暗い院内で、アクプダシェ氏は「人々が訪れて来ていろいろ質問されるのは困るんだ」と語った。

 正当な医師免許を持っているか疑わしいアクプダシェ氏が経営する同クリニックは、7月にナイジェリアの治安警察部隊(NCDC)の家宅捜索を受けた。3か月間にわたるおとり捜査の結果、新生児を売っている容疑がかけられたためだ。「捜査官に子どもを買いたいふりをさせた」とNCDCの広報はAFPに語った。

 警察はそれより先、5月にアクプダシェ氏の自宅を捜索し、ここでも赤ちゃんが売られていた証拠をつかんだ。

 このような「赤ちゃん工場」は通常、小さなクリニックの仮面をかぶり、妊婦を住まわせ、生まれた赤ん坊を売りに出している。若い女性が意思に反して拘禁され、レイプされ、生まれた子が闇市場に出されたとされるケースもあった。だが治安当局によれば、ムーンライトクリニックも含め大半のケースは、予期せぬ妊娠をした未婚女性が、自発的に、あるいは説得されてクリニックを訪れているという。

 新生児たちは数千ドルで売られ、男児のほうが女児より高い。そして母親は200ドル(約2万円)ほどを受けとる。

 ある29歳の女性のケースは典型的と言えるだろう。彼女の場合、父親が中絶を求めた。だがナイジェリアで中絶は違法であり、彼女は拒んだ。すると彼女の母親が「助産師」を連れてきて、出産を助けてくれたが、この助産師が生まれた息子を1500ドル(約15万円)で売り払った。
「生まれて1日しかたっていない息子を私から取り上げて……」と、女性は語った。

 その後、彼女のおじが赤ちゃんを見つけ出して、取り戻してくれたという。
 息子を連れ去った「助産師」について問うと、「何も言うなと口止めされた」と、女性は述べた。

■「人間は動物のように売買されてはならない」

 アクプダシェ氏は現在保釈中で、本人が「合法の産婦人科クリニック」と強く主張するクリニックは今も閉鎖されていない。当局は、裁判所の決定が出るまで閉鎖できないとしている。

 NCDCの広報は「人間は動物のように売買されてはならない」と述べる。

 警察当局がエヌグ郊外にあるアクプダシェ氏の3階建ての自宅に捜索に入ったとき、6人の若い妊婦がいた。
 エヌグ警察からAFPが入手したビデオには、その妊婦の中の1人が、シングルマザーになって苦労するのではなく勉強を続けたいと語っていた。
 彼女にとっては、アクプダシェ氏の家で子供を産み、売りに出すのが解決策だったのだろう。同じビデオで、アクプダシェ氏は「助けを必要としている人を助けたいだけだ」と語っていた。

 国連(UN)によると、人身売買は2003年に違法化されたにもかかわらず、ナイジェリアでは詐欺と麻薬売買に次いで3番目に多い犯罪だ。最高刑は終身刑だが、量刑の裁量は判事にあり、罰金だけで済むこともある。

 赤ちゃんの売買は、イボ(Igbo)人が多く住む同国南東部で特に横行している。NCDCはエヌグで他にもいくつかの潜入捜査を展開しており、同地域の問題の深刻さが表れている。

■「人々の多くが違法手段に走る」

 同地域でなぜ「赤ちゃん売買市場」が発展したのかには諸説ある。
 赤ん坊が呪術師に売られていると恐れる人がいれば、詐欺師たちが見つけた新たな金策だと言う人もいる。
 だが治安当局や人権団体は、買い手の大半は不妊に悩む夫婦だとみている。

 国連の女子差別撤廃委員会(CEDAW)のメンバーで、ナイジェリア南東部で治安裁判所判事を務めたオビ・ヌワンコ(Oby Nwankwo)氏によると、男児優位主義というイボ人社会の慣習が影響している可能性がある。
 イボ人社会では、家長が亡くなったとき、妻や娘が遺産を相続するには多くの障壁がある。息子がいない場合、相続権は兄弟または親戚にわたってしまうこともあるという。

 ナイジェリアの裁判所はこの相続に関するイボ社会の慣習を女性差別とする判決を下した。しかし、イボ社会にはいまだ男児を産まないといけないという大きなプレッシャーがあることに変わりはない。

 政府の仲介による養子縁組は公的な記録が残るため、養子に対する偏見が根強い社会では敬遠される。それで「人々の多くが違法手段を求めるのだ」と、女性団体WIPNETのイルカ・ヌオケディ(Iruka Nwokedi)氏は語った。(c)AFP/Ben Simon
AFP 2013年9月23日

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