※不二家は、2007年に消費期限が過ぎた牛乳を使ってシュークリームを製造、出荷したとして摘発され、全国の直営店、フランチャイズ店のすべてで販売を停止するなどの不祥事によって経営危機に陥ったのち、山崎製パンの連結子会社になっています。
 中国への進出もちょうどその頃から始まっており、今更感がなくもありませんが、完全に中国のマーケット拡大を視野にいれての工場増設とみて間違いないでしょう。

 2019年度の訪日外国人数は3188万人(2018年:3119万人)、うち9割は中国人(959万人)を含むアジア人でしたが、お土産として日本のお菓子の人気が高く、業界全体の売り上げも年々アップしているようです。

cf:2017年度の外国人観光客は前年比で19%アップ、2869万人
外国人観光客のお菓子の購入、1589億円

 不二家に関していえば、お土産というより海外での事業展開においても地域別の売り上げで中国がダントツの1位、台湾2位、香港が3位となっています。

 新型コロナによってインバウンドが見込めず、米中の経済戦争(制裁)の攻防も激化する中、中国での工場増設、人気商品の増産体制はやむを得ないということかもしれませんが、チャイナ服を着たペコちゃん(牛奶妹)に違和感を覚えずにいられない、生産管理、品質保持に不安があるという声も多く聞かれます。 *


 ◇将来的にはチョコレートの生産ラインも導入視野

 不二家は29日、約29億円を投じ、中国でビスケットを生産する工場を建設すると発表した。2020年7月に着工し、23年7月の稼働を予定している。将来的にはチョコレートの生産ラインの導入も視野に入れており、中国で総合菓子メーカーを目指す。

 浙江省杭州市で菓子を生産する子会社が、既存の棒付きポップキャンディーの工場の近隣に建てる。
 新工場は地上4階、地下1階建てで、延べ床面積は約6万平方メートル。フル稼働時には100億円の出荷額を見込む。
日本経済新聞 2020/7/29

「牛奶妹」=ミルクガール
牛奶妹 (牛乳の女の子)

 ◇不二家は山崎製パンの連結子会社に→中国進出

 不祥事を受けて経営危機に見舞われた不二家は2007年春、山崎製パンと資本・業務提携を結ぶとともに、第三者割当増資を経て山崎製パンの持分法適用会社(当時の出資比率は35%)となった。
 両社の関係はその後、さらに深まり、2008年に不二家が再び実施した第三者割当増資を経て、山崎製パンの出資比率は過半超まで高まった。それ以後、不二家は山崎製パンの連結子会社となった。

■不二家
1910年横浜市元町に洋菓子店(元町店)を開店したことからはじまり、東京、京都などにも出店。
ミルキーが「つくられている」静岡県(沼津工場)は、戦災で焼け残ったボイラーただ1基を手掛かりに、戦後再建されたものです。現在、「ミルキー」は富士裾野工場で作られている。
「牛乳そのままの味を生かした」というイメージから、「ミルキー」という名で発売され、来年2021年に発売70周年を迎える。

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明治乳業 中国

 ◇明治、中国に乳製品と菓子の新会社 蘇州、天津と合わせて3工場体制に

 明治は16日、中国で牛乳やヨーグルト、菓子などの生産販売を手がける会社を設立したと発表した。
 資本金は約184億円で、工場は2021年度上期に建設を始め、23年度に生産を始める。投資などを積極的に進めて注力する中国事業のさらなる拡大を図る。

 広州市に新会社「明治食品」を設立した。出資比率は明治が49%、同社が19年に設立し、中国の事業会社の経営管理などを手がける子会社が51%。工場用地の面積は約5万1千平方メートルで、明治が中国にもつ工場としては2番目の規模となる。

 新会社の設立で中国の牛乳・ヨーグルト事業は既存の蘇州の工場と22年度下期に稼働を予定している天津の工場と合わせて3工場体制となる。生産能力を強化するとともに供給体制を構築し、販路を広げていく方針だ。
日本経済新聞 2020/7/16

明治 蘇州
明治乳業(蘇州)

■明治チャイナ
中国統括会社の概要
(1)社名
  明治(中国)投資有限公司 (略称:明治チャイナ)
(2)事業内容
  中国事業会社の経営管理、資金管理、ガバナンス機能強化など
(3)会社設立
  2019年1月
(4)所在地
  中華人民共和国上海市黄浦区淮海中路918号
(5)資本金
  3,000万米ドル
(6)出資比率
  株式会社 明治 100%

●明治制果食品工業(上海)有限公司
●廣州明治制果有限公司
●明治乳業(蘇州)有限公司
●明治雪糕(広州)有限公司