sukii
馬息嶺スキー場(2013年公開)を視察する金正恩氏

【ソウル=桜井紀雄】
 韓国と北朝鮮は17日、次官級会談で、平昌五輪のアイスホッケー女子の合同チーム結成や合同入場行進に加え、北朝鮮での文化行事共催やスキー場活用で合意した。
 いずれも文在寅大統領の「平和五輪構想」として韓国が提案したもので、文政権が北朝鮮にすり寄る姿勢が鮮明になった。

 会談では、北朝鮮が応援団約230人を派遣することでも合意。過去同様、「美女応援団」を大挙、送り込む可能性があり、既に確定した芸術団約140人の派遣と合わせ、金正恩体制の宣伝に利用される懸念が持ち上がっている。

 さらに問題となるのが、北朝鮮南東部、金剛山(クムガンサン)地域での開幕前の文化事業の共催や、東部、馬息嶺(マシクリョン)スキー場での南北選手の合同練習だ。
 韓国統一省は、合同練習に「五輪出場選手が参加するわけではない」と説明するが、そうなれば、五輪競技と関係のないイベントをねじ込んだことになる

 同省は17日、いずれも文氏の「平昌五輪5大構想」などに基づき韓国側が提案したと明らかにした。構想には、北朝鮮の冬季競技インフラ活用案の協議や、金剛山一帯での前夜祭開催努力が盛り込まれていた。
 文氏は大統領就任前の昨年1月、「馬息嶺スキー場などを活用し、金剛山で前夜祭をすれば、世界の注目が集まる」と発言していた。

 北朝鮮のミサイル発射や核実験など相次ぐ軍事的挑発で頓挫していた対北融和策が北朝鮮の対話呼びかけで息を吹き返したわけだ。

 ただ、スキー場や金剛山の施設利用で韓国側が費用を支払えば、国連や韓国独自の制裁に抵触する恐れがあるとも指摘されている。

 北朝鮮は、代表団が韓国入りする際、2016年の核実験を受けて閉鎖中の開城(ケソン)工業団地の路線を使う方針も示した。08年の韓国人女性射殺事件で中断された金剛山観光とともに、北朝鮮の外貨源だった事業再開に向けたシグナルとも受け取られかねない。

 一方で、高官級代表団の派遣については、北朝鮮側が「議論を先送りしたい」として、誰が訪韓するのか明示されなかったという。
産経ニュース 2018.1.18

        *

◆関連記事
【北朝鮮】文大統領を非難「非核化は妄言」
 →実務協議控え、五輪不参加示唆で韓国に圧力

北朝鮮は芸術団約140人を派遣
1
牡丹峰(モランボン)楽団