金正恩※首脳会談の時に場慣れしない田舎者のように妙におどおどして落ち着きがなかった金正恩氏。虚勢とはいえ妹の金与正のほうが、多少堂々としているように見えました。

 筆者も今回、金正恩の子供の頃~十代の頃~現在出回っている影武者説の写真などと比較・検証し、ある結論に達していますが、あえて書かないでおこうと思います。トランプ大統領の視線、態度、金与正が“兄”に接する態度がすべてを物語っていたように思います。

 DNAや指紋、健康状態等が中国の諜報機関によって採取される危険性をおかしても安全性を重視してあえて中国機を使った理由もそこにあるのでしょうが、アメリカは南北首脳会談後に韓国を通してそれらの情報をすでに入手済みとも言われていますから、情報戦で中国が優位にあるとも思っていないでしょう。

金正恩
米朝首脳会談のためにシンガポールに降り立った金正恩氏

 ◇「正恩氏の健康状態を秘匿する」ための専用輸送機は帰国したが・・

 北朝鮮・朝鮮労働党の金正恩委員長は12日の米朝首脳会談を前にシンガポール入りしたが、北朝鮮が使用した3機の航空機のうち北朝鮮国営高麗航空の輸送機には移動式専用トイレが積まれていた。国家指導者たる「正恩氏の健康状態を秘匿する目的」なので、メディアの注目を集めたが、重大な点を見逃している。

 ◇中国諜報機関の手に渡った“国家機密”

「4月の南北首脳会談でも、正恩氏は移動式専用トイレを使ったが、トイレは北朝鮮へと『帰国』を果たした」(日朝公安筋)。
 今回、正恩氏は中国のナショナルフラッグ=中国国際航空の特別機に搭乗しており、機内トイレの内、正恩氏の専用トイレに残される排泄物は中国諜報機関の手に渡る。
 正恩氏をシンガポールで降ろした特別機は、通常ならば給油&メンテナンス能力を備えるシンガポールの空港で待機する。
 ところが特別機は一旦、北京に帰り、正恩氏の出国時に合わせ再びシンガポールに戻った。こうした“時間的ロス”の背景を考えれば、中国諜報機関による排泄物などの分析は一層現実味を帯びる。

 機内トイレの排泄物はタンクに導かれるが、トイレ掃除など管理権は中国側が有し、便器に付着した排泄物の採取は否定できない。中国諜報機関の技術陣がトイレを、排泄物取得に向け「特別仕様」に改造しているかもしれない。小型簡易トイレを狭い機内に持ち込むケースも想定されるが、正恩氏の尊厳を侵し、可能性は低い。

 ソ連・スターリン政権の諜報機関が敵対国は無論、同盟・友好国の国家指導者の排泄物を熱心に収集し、精神分析などに利用していた事実が近年明らかになったが、中国も米中を天秤にかける正恩氏を信用していない。
 正恩氏の健康&精神状態は、朝鮮半島の核・ミサイル開発問題を左右し、北東アジア情勢激変を誘発する。正恩氏は重要な監視対象だ。

 仮に特別機内で簡易トイレを使用したとしても、繰り返すが、管理権は中国側にある。
 愛煙家の正恩氏が吸ったたばこの吸い殻+食器&食べ残しには唾液が付着し、DNA鑑定に有効で、影武者がいる正恩氏の人定に役立つ。従って、北朝鮮の防諜機関員が機内より運び出しただろう。

 では、同じく健康やDNA鑑定に役立つ指紋や毛髪はどうか? 
「狭い範囲で行われた4月の南北首脳会談では、正恩氏が触ったモノを、北朝鮮防諜機関員が特殊な布で拭き取っていた」(日朝公安筋)。
 しかし、中国管理下の機内から全ての指紋や毛髪を消し去る工作は至難。加えて、特別機は機体とDNAの「検査」のため北京に戻り、北朝鮮防諜機関に十分な工作時間は与えられなかった。

 ◇正恩氏の専用機は古い機種で安全性にも問題が

 正恩氏が自国の専用機を予備機に回し、排泄物+指紋+毛髪を中国諜報機関に採取される危険を冒しても中国国際航空の特別機に搭乗したのは、安全を最優先した証左。正恩氏の専用機が平壌⇔シンガポール間を往復できた“実績”も、正恩氏の「ビビリ度」を際立たせた。

 他方、中国の危機感も透ける。

 今回、特別機を提供+航路を飛行中に変更し、安全確保+中国空軍機が護衛したが、中国の習近平国家主席は事前に次の点にクギを刺したのではないか。

 正恩氏が自国の専用機を予備機に回し、排泄物+指紋+毛髪を中国諜報機関に採取される危険を冒しても中国国際航空の特別機に搭乗したのは、安全を最優先した証左。正恩氏の専用機が平壌⇔シンガポール間を往復できた“実績”も、正恩氏の「ビビリ度」を際立たせた。

 米国のドナルド・トランプ大統領は米朝首脳会談前、朝鮮戦争(1950~53年休戦)の《休戦協定》をレベルアップさせた、会談での「終戦宣言」の可能性に触れた。宣言されれば、休戦協定署名国(米中朝)中、中国だけがはずされる屈辱的国際史を刻んでしまう。そこで、習氏は「中国はずし」にクギを刺し、専用機や護衛機の提供を申し出たのだ。結果、「終戦宣言」は出されなかった。

 もっとも、「中国はずし」とは比較にならぬほどの危機が、習氏の髪の毛を逆立てている。

 米朝首脳会談がシンガポールで行われていた頃、台湾では、米国大使館に相当する《米国在台協会台北事務所》の新庁舎落成式が行われ、出席した米国の国務次官補がスピーチした。

 「(新庁舎は)米台関係の強さの象徴で、今後の偉大な協力を可能にする先進的施設だ」
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産経ニュース 2018.6.18
          
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