長岡京市●1979(昭和54)年5月23日に京都府長岡京市で発生した未解決殺人事件。
「野山ワラビ取り殺人事件」とも呼ばれている。

 長岡京市内のスーパー「いずみや(当時)」のパート従業員主婦二人(水野恵子さんと明石英子さん)が午前11時頃、早番の勤務を終えた後で「野山、または西山梅林」と呼ばれている山にワラビ採りに行ったまま消息不明となり、二日後に光明寺裏山の山頂付近の雑木林で遺体となって発見された事件。

 ※西山梅林=標高200m

▶直接の死因
 水野恵子さん(当時32歳)――左胸部を刃物で刺されたことによる失血死。
 明石英子さん(当時43歳)――胸に数箇所の刺し傷あり。首を絞められたことによる窒息死。

warabi 被害者は二人ともアキレス腱を切られており、殴られたり蹴られたりしたような皮下出血の跡が全身にあった。
 二人の死亡時刻は正午過ぎから2時半の間。

・水野さん=約50箇所の皮下出血。拳で殴られたり、蹴り上げられたような跡があり、被害者たちのものとは違う血液型O型の体毛が付着していた。
 発見時、左胸には包丁が刺さったままの状態で、傷は心臓から肺にまで達し、肋骨が切断されていた。
 発見当時、ジーパンや靴が近くに散乱し、下着(下半身)が引き裂かれており、性的暴行を受けた可能性も示唆されたが体液は検出されず。

・明石さん=紐で首を絞められた跡の他、手拳で殴られたり蹴られたような皮下出血の跡が約30箇所あり、肋骨が9本折れ、肝臓が破裂していた。
 シャツのボタンがちぎれ、靴が脱げるなどしていたが、ジーパンは穿いている状態で乱れはなかった。
 →二人とも乱暴された形跡があり、着衣が乱れていたという報道もある。(中日新聞:1979年5月25日

▶遺留品
 二人のリュックには空の弁当箱、採ったワラビ、財布が入ったままで金品を奪われた形跡なし。
 明石さんのズボンの右ポケットから発見された皺くちゃのレシートの裏に、オワレている たすけて下さい この男の人わるい人と鉛筆の走り書きが残されていたが、現場周辺から鉛筆は発見されず、水野さんの遺体から17mほど離れた地点で芯(約1㎝)のみ発見された。
 メモを書いた鉛筆と発見された芯が同一かどうかは不明。
 水野さんの胸に刺さっていた包丁(関市製造、無銘)からは指紋は検出できず、販売ルートも不明。

▶1979年5月23日の天気:晴 事件発生時頃の気温28℃

▶遺体発見現場
 京都府長岡京市河陽が丘2丁目の北西に隣接する光明寺裏山(標高約200m)の山頂付近の雑木林。

▶事件当日の二人の足取り
・10:00a.m. 早番の仕事終了。二人は勤務先のスーパーで弁当を買って自転車でワラビ採りに出掛ける。
・11:00a.m. 「野山」の麓にある寂照院前の畑地に自転車を止めて入山する姿を、宅地造成中の工事現場のガードマンや竹林で作業中の夫婦が目撃。


▶鉛筆の走り書きSOS
 レシートは二人が勤務するスーパーのもので日付は二日前。
 →事件直前に弁当を買った時のレシートではなく二日前の皺くちゃのレシートにメモが書かれていたこと、鉛筆が誰のもので、なぜ現場に残っていなかったのか、そもそも誰が書いたものなのかという謎が残ったまま1994年5月24日に公訴時効が成立。


長岡京市2

※同じスーパーに勤務していた主婦が、この事件の後殺害され布団にくるまれて焼かれるという事件が発生している。
 上記事件との関連性については、はっきりしていない。

※スーパーいずみやは、現在イズミヤと名前を変えて営業している。