【徴用工の真実】
徴用工には日本人と変わらぬ賃金が支払われ、生活面でも優遇されていた。
朝鮮人鉱夫には大浴場だけでなく、専用の遊郭、プールも用意されていた。

ジャパンタイムズ、「徴用工」を正しい表記=「戦時労働者」(wartime laborers)に改めると発表 

軍艦等の絵本 韓国

 日本統治時代、朝鮮半島から動員され日本の工場などで働いていた「徴用工」。そのうちの4人が“強制労働させられた”などと新日鉄住金(旧新日本製鉄)に損害賠償を求めたのがこのたびの“徴用工裁判”だが、では韓国の一般国民は徴用工についてどう“認識”しているのか。

 それは、ソウル市内などに設置されている「徴用工像」を見れば明らかだ。右手にツルハシを握り、左手を頭の高さまで上げているその男性は上半身裸で、あばら骨が浮き出るほどガリガリに痩せている――そこから想起されるのは、「奴隷」や「強制労働」といった言葉である。

 実態はどうだったのか。

◇徴用工には日本人と変わらぬ賃金が支払われ、生活面でも優遇されていた

明治赤池炭鉱の平均賃金
明治赤池炭鉱(明治鉱業‐1970年閉山)の一日当たりの平均賃金

「事実と違うことには反論しなければならない」と立ち上がったのが元島民たちだった。
 《国と行政の無能さ..呆れる》

 そもそも、一括りに「徴用工」と表現されることが多いが、国家総動員法に基づく国民徴用令を本格的に適用した「徴用」が朝鮮半島で行われたのは1944年9月から。それ以外の「徴用工」は日本企業が行った募集への応募か、朝鮮総督府が募集に関わった「官斡旋」による労働者である。いずれの場合も賃金が支払われていた。

「軍艦島のガイドをしていると、観光客から徴用工についての質問を受けることがあります。“朝鮮人の強制労働はあったんですか?”と。その度に“そんなことはありません”と、きちんと説明しています」

 そう語るのは、NPO法人「軍艦島を世界遺産にする会」理事長の坂本道徳氏。

「例えば、ある元島民の方は“朝鮮人用の遊郭があった”と話します。この証言一つとっても、強制労働があったとは言いにくいのではないでしょうか。仮に、強制的に労働させていたのだとしたら、朝鮮人専用の遊郭なんて作るでしょうか? 奴隷のように朝鮮人を扱っていたのなら、働けるだけ働かせて、後は牢屋にでも入れておこうと考えるはずです」

「鉄格子」に「逆さ吊り」
 坂本氏は一昨年から昨年にかけて軍艦島の元島民の証言を集め、「YouTube」にアップしたが、同様の活動をしているのが、故加藤六月元農水相の長女で「産業遺産国民会議」の専務理事、加藤康子さんである。加藤さんは軍艦島を含む「明治日本の産業革命遺産」が2015年に世界文化遺産に登録された際の“陰の立役者”。そんな彼女が「軍艦島の真実」というウェブサイトを立ち上げたのだが、その背景には、

「イコモス(国際記念物遺跡会議)が軍艦島などを世界遺産に登録するよう勧告する前後に、韓国政府や韓国の市民団体から猛烈な反対を受けました」

 と、加藤さんご本人。

「価値そのものではない部分で世界遺産の登録にケチが付くのは通常では考えられないこと。市民団体が会場で配布した資料のタイトルも衝撃的でした。軍艦島の写真を表紙にして、『盗まれた国、拉致された人々』と書かれていました。そこで、端島(軍艦島)で暮らしていた方々に戦時中のことを聞こうと考えました。すると、いま世に出ている証言や資料には、実際の現場の状況を反映していないものが多くある、ということが分かったのです」

 例えば、16年に韓国で出版された絵本『恥ずかしい世界文化遺産 軍艦島』。そこでは、朝鮮人の少年たちが鉄格子の中ですし詰めになっている様子や、両足を縛られて逆さ吊りにされている場面が描かれているが、無論、そのような事実はない。ウソのレパートリーは、イソップ童話の「オオカミ少年」よりも豊富である。

朝鮮人鉱夫を優遇
大浴場だけでなく、朝鮮人用の遊郭、プールも用意されていた

元徴用工の怪しい証言
「元島民で鉄格子を見た人はいません」

 加藤さんはそう話す。

「元徴用工だという人の手記には、『端島炭坑と高島炭坑を電車で往来した』とあります。しかし、両島は地下でつながっていないので往来は不可能です。逃走した人は、『ゴムのチューブで皮膚がはがれるほど叩かれ、拷問された』と話しています。しかし、そんな場面を目撃した元島民はいません」

 こうした怪しい証言を元に繰り広げられた韓国のプロパガンダに踊らされたメディアは数知れず。例えば、南ドイツ新聞は15年7月の電子版記事で、「(中国や韓国の強制労働者)1千人以上がこの島で死んだ」「強制労働者の死体は海か廃坑に投げ入れられた」などと書いた。

「これらは、端島で暮らしていたというある朝鮮半島出身者の証言が元になっているようです。彼は、“ある時、中国人労働者が1千人以上いなくなった。私は日本人が坑内に閉じ込めて虐殺したと疑っている”と書いていますが、記事では、それが事実として書かれているのです」

 と、加藤さんは明かす。そんな彼女に今回の判決について改めて聞いてみると、

「当然、納得はいきません。“あり得ない”とコメントされた安倍総理の談話がすべてを代弁していると思います」

「週刊新潮」2018年11月15日号 掲載
デイリー新潮 2018年11月16日