※議員定数が増えたことで国民負担が30億円増えるということもそうですが、2018年の公選法改正で新たに導入された「特定枠」には問題が残ります。
 個人の得票数に関係なく党が定めた優先順位に基づいて当選が決まるため、某党のように知名度もなく、登院にも支障をきたすような候補者が当選してしまうということが実際に起こります(↓起きてしまいました)。

 下の二人は結局は登院しましたが、「満足の得られる制度改正が行われなければ登院を見合わせる」などという発言は、有権者から「順序が違うのではないか」「何のために国会議員になったのか」と批判が起きるのも無理からぬことです。  *

れいわ新選組

 れいわ新選組の初当選議員2人が、1日、召集の臨時国会に出席しないことを検討していることがわかった。

 重度の障害を持つ舩後靖彦参院議員と木村英子参院議員は、参議院が費用を負担する特例的な形で、「重度訪問介護」サービスを受けながら、議員活動を行えるようになった。

 しかし、2人は、国が費用負担する抜本的な制度改正を求めており、山本太郎代表とも相談し、1日、本会議出席の是非を最終判断する。
FNN PRIME 2019年8月1日

自民党・岡田参院幹事長代行 立憲民主党・蓮舫参院幹事長

 ◇議員が増えて国民には30億円の“新規負担”

 消費増税は目前なのに国会議員は「身を切る改革」をしないのか

 教育や子育て、社会保障の充実が目的とはいえ、国民の負担が増えることには違いない。
 しかし、増税が迫る一方で、税金を政治活動に充てている国会議員の「身を切る改革」は遅々として進んでいない。むしろこのままでは、30億円を超える経費の増加という「身を切る改革」から逆行する動きのみが実施されようとしているのだ。
 
 そうした中で、議員の給料をめぐってすれ違う与野党の主張。

「この国会のうちに責任をもって結論を出す必要がある」(自民党・岡田参院幹事長代行)
「国民の納得が得られるとはとても思えない」(立憲民主党・蓮舫参院幹事長)

 ◇参院議員の給与めぐり“異例の再協議”

 1月から始まった通常国会で、2019年度予算や幼児教育・保育を無償化する法律などが次々と成立する中、いまだ出口が見えないどころか、審議にすら入れていないのが、参院議員の歳費に関する法案だ。
 
「歳費」とは議員の給与にあたるもの。
 与党は、この歳費について、参院議員1人あたり月額7万7000円減らす法案を2月に国会提出した。
 
 与党側は、当初、ゴールデンウィーク前に法案を参院で可決する方針で、4月22日からの審議入りを決めた。 しかし、野党側が激しく反発したため、当日になって審議入りを中止。ゴールデンウィーク後に、改めて与野党で法案の扱いを含めた協議を行うという異例の展開となっている。

 ◇新たな国民負担「30億円」をどう補うか…

 与党が歳費の削減に取り組む姿勢を示している理由は、今年夏の参院選で議員の定数が3増え、3年後の参院選と合わせると定数が6増えることが決まっているからだ。

議員数が増え、新たな国民負担「30億円」
 
 そこで与党としては、議員歳費の削減を実現することで、定数増について国民の理解を得たい考えだ。

 一方の野党。議員給与を削減するという法案に反対するのは、国民にマイナスの印象を与えるように思えるが、立憲民主党を中心に強気な姿勢を貫いている。

 その理由は、そもそも定数6増が「1票の格差」を是正すると同時に、選挙区が「合区」された地域の自民党議員を救済する目的のものだったからだ。
 
はくしんくん 小池晃

「自己都合で姑息(こそく)なやり方だ」(立憲民主党・白眞勲議員)
「定数を党利党略で増やした分をごまかすためのやり方」(共産党・小池書記局長)
野党は、定数増を改めて批判した上で、法案で歳費の削減期間が3年に限定されていることの問題を指摘するなど反発していて、与党は審議入りに踏み切れない状況だ

 ◇消費税は10月に増税 “国民との約束”は? 

 この問題を考えるうえで重要なことは、10月からの消費税率アップだ。
 
 思い返せば、2012年の党首討論で、当時の民主党政権の野田首相の「消費税の増税で国民に負担をお願いする以上、議員定数の削減の道筋を付けないといけない」との提案に、当時野党自民党のトップだった安倍首相も同意。公明党を加えた3党合意を経て、消費税率が引き上げられた経緯がある。

 消費税の増税のみが実施され、議員定数の方は削減どころか増加が行われるようでは、国民との“約束違反”と言われても仕方ない状況だ。
 
 こうした背景があるにもかかわらず、定数を増やす法案を提出し成立させた与党は当然批判を受ける立場だが、野党も、定数増が既に決められている以上は、何の措置も講じず歳費削減に反対するだけでは、国民の理解はなかなか得られないだろう。
FNN PRIME 019年5月16日