※「トップが正面から向き合おうとしないということは組織ぐるみの隠蔽だ!」と散々主張してきた立憲民主党の枝野幸男代表ですが、吉田統彦議員の文科省黒幕疑惑について「知見がないので答えられない」と繰り返して逃げまくり、辻元清美国会対策委員長の生コン疑惑も見て見ぬふりをする一方で、選挙戦をめぐって相変わらず低レベルな“身内”同士のいがみあいを続けているようです。

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 来年夏の参院選の対応をめぐり立憲民主党と国民民主党の間にすきま風が吹いている。
 立憲民主党が、国民民主党の提唱する野党共同の選挙対策本部設置構想に繰り返し拒否感を示す一方、国民民主党からは立憲民主党が掲げる改選2人区への公認候補擁立方針に不満の声が上がっている。
 野党候補者の一本化が不可欠な改選1人区での調整についても温度差があり、野党共闘に影響を及ぼしそうだ。

 参院選での野党による共同選対構想は、国民民主党代表選に出馬した津村啓介元内閣府政務官(46)と玉木雄一郎共同代表(49)がそろって訴えている。

 玉木氏は代表選が告示された8月22日の記者会見で「遅くても年内には共同選対のようなものを立ち上げ、(衆院会派)『無所属の会』も含めて候補者の発掘や選定を野党が協力して取り組んでいくことが重要だ」と主張している。

 津村氏も「敵は自民党で、連携できるところは連携するという哲学は共有できている」と述べ、他の野党に協力を呼び掛けている。

 これに対し野党第一党である立憲民主党の枝野幸男代表(54)の反応は冷ややかだ。
「どういう枠組みで選挙を戦っていくのか、地域ごとに千差万別だ。中央で変な枠組みをつくることが1人区での幅広い連携の障害になる。われわれはそれに与するつもりはない」。
 枝野氏は8月25日、さいたま市で記者団にこう語り、共同選対構想を重ねて突き放した。

 改選2人区の対応をめぐっても両党でさや当てが繰り広げられている。枝野氏は7月末の記者会見で、2人区の対応について「野党で2議席取りにいくためには野党第一党が立てないという選択肢はあり得ない」と断言し、2人区を含む改選複数区で候補者を擁立していく方針を示した。

 2人区は茨城、静岡、広島各県と京都府の4府県。いずれも与野党で1議席ずつ分け合っていて、3県では国民民主党の現職が議席を持っている。
 枝野氏は「野党で2議席」を目標に候補を立てるとしているが、「野党で2議席独占は現実的ではない」(国民民主中堅)との見方もある。

 立憲民主党が2人区に候補を立てれば、国民民主党現職の当落に直結するだけに反発の声は大きい。国民民主党の玉木氏は2人区でも野党候補を一本化する必要性を指摘。
「2人区でも候補者を野党で一本化することが不可欠だ。そうしないと与党に漁夫の利を与える。現職優先で野党がしっかり連携するため、速やかに共同選対をつくるべきだ」と強調している。

 津村氏も「1人区の候補者調整をしていかなければならないときに、その環境整備に逆行する方針だ」と立憲民主党の方針を強く批判している。

 ただ、枝野氏は「比例区や複数区は(各党が)切磋琢磨するという構造になる」と繰り返し強調しており、両党間の溝は簡単には埋まりそうもない。

 改選1人区における候補者一本化に向けた調整についても枝野氏と玉木氏らとでは考え方に違いがある。1人区での野党候補一本化の必要性について、双方とも疑問の余地はない。

 しかし、枝野氏は「それぞれの地域において自民党を倒したいと思っている市民と各政治組織などが地域ごとに連携をしていく」ことで候補者の一本化を図っていくとの考えで、中央の政党間同士ではなく地域ごとの調整に重きを置いている。

 一方、玉木氏は「共同選対をつくって候補者の選定、擁立に取り組んでいく」としており、政党間で調整を進めていくとの考え方だ。

 こうした微妙な考え方の違いは参院選が近づくにつれて大きなしこりとして顕在化する可能性があり、野党共闘に影響を及ぼしかねない。

 津村氏は代表選に立候補するにあたり「参院選で野党が改選過半数をとれなければ直ちに代表をやめる」と宣言したが、野党間の足並みがそろわなければ、とてもではないが過半数という目標はおぼつかない。 
(政治部 小沢慶太)