※公判中も障碍者への差別的な主張を繰り返し、「どんな判決でも控訴しない」と述べていたようですから、これで死刑が確定し被告本人も満足でしょう。
 裁判長による判決理由もすべて納得のゆく内容であり、一部の自称人権派弁護士と呼ばれる人以外、この判決に異議を唱える人はいないと思われます。 *

植松聖
裁判前に、「障害者は不幸を作ることしかできない」と供述

 ◇「刑事責任能力を認定。被告に更生の可能性なく、極刑以外選択の余地なし」

 相模原市の知的障害者施設「津久井やまゆり園」で平成28年7月、入所者19人が殺害され、職員を含む26人が重軽傷を負った事件の裁判員裁判の判決公判で、横浜地裁は16日、殺人罪などに問われた元職員、植松聖(さとし)被告(30)に求刑通り死刑を言い渡した。

 青沼潔裁判長はこの日、判決主文を後回しにし、理由の朗読から始め、最大の争点だった事件当時の植松被告の刑事責任能力を認定していた。

 植松被告はこれまでの公判で起訴内容を認め、「意思疎通できない重度障害者は安楽死させるべきだ」「事件は社会に役立つ」と差別的な持論を展開。判決前、「どんな判決でも控訴しない」と述べていた。

 弁護側は大麻による精神障害とし、「善悪を判断する能力はなかった」などと事件当時は心神喪失状態で責任能力はなかったとして無罪を主張。
 差別的な考えと犯行との間に「病的な飛躍がある」とした上で、事件の約1年前から大麻の乱用で人格が急変し、その高揚感から事件を起こしたと訴えた。

 検察側は精神鑑定結果を基に「パーソナリティー障害」に由来する人格の偏りにすぎず、正常心理の範囲内で行動も制御されていたと説明。
 園での勤務経験などから犯行を思いつき、凶器を複数準備するなど計画的に実行したと強調した。大麻使用の影響も小さく、完全責任能力があったとして、死刑を求刑していた。

 起訴状によると、植松被告は28年7月26日未明、入所者の男女を刃物で突き刺すなどして19人を殺害、24人に重軽傷を負わせたとされる。また職員5人を結束バンドで廊下の手すりに縛り付け、2人を負傷させたとしている。
産経新聞 2020.3.16

横浜地裁
横浜地裁の法廷:中央奥は青沼潔裁判長=横浜市中区(2020年3月16日)

 ◇「他の事例と比較できないほど甚だしく重大。酌量の余地はない」青沼裁判長

 相模原市の障害者施設「津久井やまゆり園」で2016年7月、利用者ら19人を殺害し、26人を負傷させたとして殺人罪などに問われた元同園職員、植松聖(さとし)被告(30)に対して、横浜地裁(青沼潔裁判長)の裁判員裁判は16日、求刑通り死刑を言い渡した。

 青沼裁判長は19人もの命を奪った結果を「他の事例と比較できないほど甚だしく重大だ」と指摘。「酌量の余地はまったくなく、死刑をもって臨むほかない」と結論付けた。

 裁判長は主文宣告を後回しにし、判決理由を先に朗読した上で、最も厳しい判決を言い渡した。植松被告には刑事責任能力があると認め、弁護側の主張を退けた。

 公判では、被告の責任能力の有無と程度が裁判の争点となった。
 起訴後に被告を精神鑑定した医師は公判で、被告に大麻中毒や人格障害があるとした上で、大麻が事件に及ぼした影響はなかったか、あっても行動に影響しないほど小さかったと述べた。

 被告は障害者差別感情を膨らませて事件に及んだとされるものの、鑑定医は、被告が大麻を使っていなくても差別的な考えを維持しており、動機は正常な心理に基づいて形成されたと指摘していた。

 検察側は、被告が「意思疎通できない障害者は殺した方がいい」と考えた末に事件に及んだと指摘。
 鑑定医の証言も踏まえ、こうした被告の考えは病的な妄想ではなく、単なる特異な考えだと強調した。

 さらに事件は計画的で、襲撃時も刺す場所を冷静に判断していた様子などから、当時の被告には責任能力があったと主張した。その上で、被告に更生の可能性はなく「極刑以外に選択の余地はない」としていた。

 これに対して弁護側は、大麻を常用していた被告が事件の約1年前から車を暴走させたり、障害者を差別する発言を周囲にし始めたりするなど、それまでの被告とは一線を画した言動を取るように変化したと主張。事件当時は大麻の長期使用により慢性の精神障害を発症していたとみられ、心神喪失状態だったと訴えていた。

 被告は公判で「(自分には)責任能力がある」と述べて自らの弁護人の主張を否定し、判決の内容にかかわらず控訴しない考えを示していた。

 ◇被告の主張「彼らは人ではないから殺人ではない」は通用せず

 公判で被告は「皆様に申し訳ないと思う」と謝罪しながら、障害者に対する差別的な考えを繰り返した。遺族や被害者家族が見守る前でも、重度障害者について「無理心中や介護殺人、社会保障費など、多くの問題を引き起こすもとになっている」「意思疎通できない障害者は安楽死させるべきだ」などと特異な主張をしていた。
【中村紬葵、国本愛】
毎日新聞 2020年3月16日

■植松聖被告
・中学で酒・タバコ、大学は脱法ハーブ、就職後は大麻 知人「ヤバい」 ⇒弁護側は精神障害主張。
・「意思疎通ができない人は殺したほうが良い」「自分は選ばれた人間」「伝説の指導者」などと繰り返す。
・「11月にトランプ候補が大統領になるから、10月までに決行しようと決めている」 ⇒計画的
・法廷で右手の小指をかみ切るようなしぐさを見せるなど、突如暴れて休廷になったことも。