※米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設を「唯一の解決策」とする立場の米政府は、移設実現に弾みがつくと歓迎気配も、「米国はいかなる立場も取らず、いかなるコメントもない」と一切の論評を避けている。

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 ◇「秋の知事選も一気に行くよ」ダブルスコア差からの大逆転劇

   まさに“革命”が起きたかのような歓喜の渦に包まれた。
 4日午後10時半ごろ、沖縄県名護市長選で新人の渡具知武豊(とぐち・たけとよ)氏(56)の「当確」がテレビで速報されると、市役所前の選挙事務所でかたずをのんで開票の行方を見守っていた支持者たち約300人は快哉を叫んだ。

「やったー」「よかった、よかった」…。だれそれ構わず握手し、抱き合った。

「この8年は長い、長いトンネルでした。立春を迎えたきょう、名護に本当に春が来ました」
 30代の主婦は、涙を浮かべながら相好を崩した。

 渡具知氏が「みなさん、本当にありがとう」と深々と頭をたれると、拍手が鳴り止まなかった。
 4年前の前回市長選に出馬し、現職の稲嶺進氏(72)に敗れた末松文信選対本部長は「新しい市長のもとで名護を変え、沖縄を変えていこう」と声を張り上げた。

 渡具知氏にとっては険しい道だった。
 自民党県連名護市支部は当時市議の渡具知氏擁立で動いたが、安倍晋三政権の沖縄問題の司令塔、菅義偉官房長官が「勝てる候補」への“差し替え”を命じ白紙となった。しかし結局、さしたる候補者が見当たらず渡具知氏に舞い戻った。

「やれば、できる!!」
 一時は“だめ出し”した菅氏は昨年11月、首相官邸を訪れた渡具知氏にそうハッパをかけた。
 菅氏の言葉は、渡具知氏が名刺やチラシに掲げるキャッチフレーズとなった。昨秋にはダブルスコアとされた稲嶺氏との差も日に日に縮め、ついに市長の座を射止めた。

 前回市長選で自主投票とした公明党から推薦を受けた。
 政府・自民党は昨年12月から、菅氏や二階俊博幹事長ら重鎮が続々と名護市入りし、組織・団体の票固めに動いた。

 選挙中には全国的な知名度がある小泉進次郎筆頭副幹事長を一地方選挙で2度投入するという異例の態勢で支援した。

 米軍普天間飛行場(宜野湾(ぎのわん)市)の辺野古移設問題の争点化は避け、市民生活の向上や地元経済の振興に力点を置いた。

「今回が市政奪還の最大のチャンス。これで負けたら名護も沖縄も変わらない」
 そう思い抱く多くの市民の期待に渡具知氏は応えた。

 自民党県連幹部は、渡具知氏の勝利に沸く支援者たちに目を細めながら力を込めた。

「天王山の秋の知事選も一気に行くよ」
産経ニュース 2018.2.5


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 沖縄県名護市の市長選挙は4日に投票が行われ、自民・公明両党などが推薦し、地域経済の活性化を前面に掲げた新人の渡具知武豊(とぐちたけとよ)氏が、アメリカ軍普天間基地の名護市辺野古への移設阻止を訴えた現職を破って初めての当選を果たしました。 

名護市長選挙の開票は終了しました。 
投票率は76.92%

▽渡具知武豊(無所属・新)当選、2 万389票 
▽稲嶺進(無所属・現)1万6931票 

 自民党、公明党、日本維新の会が推薦する新人で元市議会議員の渡具知氏が、民進党、共産党、自由党、社民党、地域政党の沖縄社会大衆党が推薦し、立憲民主党が支持する現職の稲嶺氏を破って、初めての当選を果たしました。 

 渡具知氏は名護市出身の56歳。2 0年近く市議会議員を務め、今回初めて市長選挙に立候補しました。 

 アメリカ軍普天間基地の名護市辺野古への移設に向け、護岸工事が進む中で行われた今回の選挙戦で、渡具知氏は、移設問題の賛否には直接言及せず、前回自主投票だった公明党の推薦も受けて、地域経済の活性化を前面に掲げました。 

 その結果、自民党や公明党の支持層を固めたほか、いわゆる無党派層からも一定の支持を集め、初めての当選を果たしました。 

 一方、辺野古への移設阻止を訴えた現職の稲嶺氏は、沖縄県の翁長知事の支援を受けて3期目を目指しましたが、及びませんでした。 

 渡具知氏は「2 期8年の今の市政に対する閉塞感と、これからの名護市の経済振興や子育て世代に対する支援などを訴えたことで全般的に支持されたと思う」と選挙戦を振り返りました。 

 また、アメリカ軍普天間基地の名護市辺野古への移設計画については「これまで何度も申し上げているように、国と県とが争っている裁判の行方を注視していく」と述べました。そのうえで、「誠実に名護市の現状を国に話して、必要な予算をお願いする」と述べました。 

 また、今回の選挙結果が秋の沖縄県知事選挙に与える影響については「何らかの影響を与えると思う」と述べました。 
NHKニュース 2018/02/04

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