金正恩 重病説

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長に異変説がささやかれている。
 これまで遠ざけてきた叔父や、死亡したとされていた叔母を相次いで“復活”させているからだ。

 叔父の金平一(キム・ピョンイル)駐チェコ大使は30年ぶりに北朝鮮に呼び戻された。叔母の金敬姫(キム・ギョンヒ)元書記は1月末に突然、劇場公演に現れた。

 金敬姫氏の夫は、正恩氏が粛清した張成沢(チャン・ソンテク)元国防委員会副委員長である。
 金敬姫氏の“復活”には、元北朝鮮高官などから「影武者説」が出ている。北朝鮮で指導者一族は「白頭血統」と呼ばれるが、なぜいま血統が出てきたのか。

金 死亡説
2015年に暗殺による死亡説、自殺説が流れていた金敬姫氏(右)

 ◇不自然な振る舞い、無言の再登場

 金敬姫氏が現れたのは1月25日平壌の三池淵劇場で行われた旧正月の公演観覧の席だった。この模様を伝えた映像や写真が公開された。正恩氏の妻、李雪主(リ・ソルジュ)夫人と、正恩氏の実妹である金与正(キム・ヨジョン)氏の間の席に座り、公演に拍手を送る姿が映し出された。

 ただ、不自然なのは、両脇にめいの与正氏やおいの嫁である李雪主氏がいるのに、一切、話はしないし、挨拶も交わしていない点だ。

金敬姫
正恩氏が粛清した故張成沢の妻、金敬姫氏(2015年頃)

 与正氏と李雪主夫人の2人は目を合わせる場面があり、目上の叔母を無視するなど通常ならありえない。
 映像の敬姫氏は、会場入りする場面でカメラから身を隠すような動きもみせていて、これも不自然だ。
産経新聞 2020.2.15