◇秘密のウラン濃縮施設は、寧辺の2倍以上の処理能力

マイク・ポンペオ マイク・ポンペオ米国務長官が今月6~7日に訪朝して北朝鮮の金英哲(キムヨンチョル)朝鮮労働党副委員長と会談した際、「秘密のウラン濃縮施設を稼働させている」と述べ、北朝鮮を追及していたことがわかった。
 複数の日米韓協議筋が本紙に明らかにした。

 米国は、北朝鮮が非核化の意思を表明しながら、逆行する活動を陰で進めているとの疑念を強めているとみられる。

 ◇濃縮ウランの増産、核施設や核弾頭の隠蔽も

 プルトニウムとともに核爆弾の原料となる高濃縮ウランの生産をめぐっては、米専門家に2010年に公開された北西部寧辺(ヨンビョン)の施設以外は実態が不明だ。
 北朝鮮が非核化に着手しても申告、検証段階で秘密施設が問題となる可能性がある。

 ポンペオ氏はさらに「濃縮ウランの生産を増やしている。核施設と核弾頭を隠蔽している。
「北東部の咸鏡南道(ハムギョンナムド))咸興(ハムフン)でミサイル工場の拡張工事中との情報があるが、米朝関係にとって良いことではない」とただした。
読売新聞 7/16(月)

咸興(ハムフン)の工場群
咸興の巨大工場群

■咸興(ハムフン)
北朝鮮有数の工業都市で、肥料や化学繊維の巨大な工場群がある。
「《ビナロン》と呼ぶ合成繊維の工場で、弾道ミサイルの液体燃料である非対称ジメチルヒドラジン(UDMH)を独自に製造している」‐CIAや脱北した北朝鮮当局者による情報
→咸興では、一部の残留日本人の生存も確認されていた。(2014年7~8月)

金英哲■金英哲(キムヨンチョル)朝鮮労働党副委員長
元弁護士で、金正恩の軍師、必殺仕掛人などと呼ばれている。
韓国では金氏の平昌五輪閉会式出席の報に「“テロの親玉”を死刑に」と議員70人が猛抗議したほどの“残忍で危険な人物”と認識されている。

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