◇懲戒請求は組織的な物量波状攻撃→扇動者本人=余命氏は請求せず

神原元弁護士「存在しない事実で懲戒請求された」神原元(はじめ)弁護士が請求者を提訴-東京地裁
 不当な懲戒請求によって名誉を傷つけられたうえ、その反証のために労力を費やさざるをえず、精神的苦痛を受けたとして、神奈川県弁護士会に所属する神原元弁護士(右)が5月9日、懲戒請求をおこなった相手に対して、損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。
(同案件では4人目の提訴)

 弁護士の懲戒請求をめぐっては、あるブログ(『余命3年時事日記』)が発端になって、神原弁護士以外にも、大量におこなわれていることが問題になっている。
 このブログは、朝鮮学校への補助金交付などを求める各弁護士会の声明に反発したもので、懲戒請求のテンプレートを配布していた。

●原告側「違法行為をした事実はまったくない」
 訴状によると、被告は2017年6月、神奈川県弁護士会に対して、神原弁護士ら複数の弁護士を対象として、弁護士法に基づく懲戒請求をおこなった。同弁護士会綱紀委員会は2018年4月、神原弁護士らを懲戒しないと判断した。

佐々木亮弁護士
「960人の不当請求者に業務を妨害された」として損害賠償請求

 懲戒理由として、「違法である朝鮮学校補助金支給要求声明に賛同し、その活動を推進する行為は、日弁連のみならず当会でも積極的に行われている二重、三重の確信的犯罪行為である」などと書かれていたという。

嶋崎量弁護士
3人目の提訴者となった嶋﨑量(ちから)弁護士

 原告は「少なくとも朝鮮学校補助金要求に関連して違法行為をした事実はまったくない」「存在しない事実について、あえて懲戒請求を申し立てていたことが明らかだ」としている。
 現時点で、被告数や損害賠償額などは明らかにされていない。

 ◇2017年だけで13万件の組織的懲戒請求―ブログでひな型を配布

 最高裁の判例では、事実上または法律上の根拠を欠く場合において、請求者がそのことを知りながら、または普通の注意を払えば知りえたのに、あえて懲戒請求していれば不法行為にあたる、とされている。
 日弁連によると、2017年だけで組織的な懲戒請求は約13万件あり、その多くが問題のブログに起因するものとみられる。