トランプ大統領

【ワシントン時事】
 トランプ米政権が核攻撃に踏み切る基準を緩和し、「米国や同盟国のインフラなどに対する非核(通常兵器)攻撃」に対しても核兵器で報復する方針を、2月公表予定の中長期核戦略「核態勢の見直し」(NPR)で明示することが明らかになった。
 米ネットメディアのハフポスト(旧ハフィントン・ポスト)がNPR草案を入手、11日ネット上に公開した。ハフポストが入手した64ページのNPR草案は政府関係者によってリークされたとみられる。

 ◇核ボタン「私にもある」=トランプ氏、金正恩氏に応酬-米、北朝鮮の対話姿勢疑問視

核のボタン

 国防総省は「NPRはまだ策定中だ」との声明を発表し、文書の真偽や内容などについてのコメントを拒否した。
 トランプ政権は文書の中で「米国と同盟国の死活的利益を守るための極限の状況でのみ核兵器使用を検討する」と明記し、オバマ前政権が示した核の運用基準を原則として順守する姿勢を示した。

 しかし、その上で「極限の状況は米国や同盟国の国民、インフラ、核施設、指揮統制、警戒システムに対する大規模な非核戦略攻撃も含む」と追記し、核攻撃の前提となる「極限の状況」の解釈を大幅に拡大した。
時事ドットコム (2018/01/13)

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 ◇米国、核運用拡大へ戦略転換 通常兵器への反撃も
  →局地攻撃を想定した小型核弾頭の開発を推進

 トランプ米政権が近く発表する中期的な核政策の指針となる核戦略見直し(NPR)の概要が11日、明らかになった。

「核兵器なき世界」を目指したオバマ前政権の方針から転換し、核兵器の役割を拡大。ロシアや中国、北朝鮮を念頭に核の脅威が高まっているとし、局地攻撃を想定した小型核弾頭の開発を進めるなど、核兵器の使用状況を広げることを目指している。 

 ◇「あらゆるレベルの抑止力を保持するため柔軟な核能力で対応」

 NPRの最終案を入手した、オバマ前政権の核政策担当特別補佐官ジョン・ウォルフスタール氏が朝日新聞の取材に明らかにした。
 8年ぶりのNPRは核の脅威が増す中で、あらゆるレベルの抑止力を保つために柔軟な核能力を持つことを目的としている。 

 最終案では、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)用に爆発力を抑えた小型の核弾頭の開発を進めることを明記。
 ロシアを念頭にした小型の核使用に対する抑止力とみられ、トランプ大統領に選択肢を提供するのが目的とされる。
(以下有料記事)
朝日新聞デジタル 2018年1月13日