sagi

 ◇犯罪ノウハウを共有、リーダーは中国人の女

 中国人とナイジェリア人で構成された詐欺集団が警察当局の摘発を受けていたことが4日、関係者への取材で分かった。

 世界で暗躍する中国詐欺団とナイジェリア詐欺団の連携が確認されたのは極めて異例。

 混成詐欺団は、偽造カードを使って不正に入手したたばこを海外で転売する犯行を繰り返していた。警察当局は外国人組織犯罪の新たな潮流とみており、今後国内で国際犯罪組織の連携が進む可能性もあるとして警戒を強めている。

 関係者によると、今回確認された混成詐欺団は、中国やナイジェリア出身の複数の男女で構成され、組織を束ねるリーダー格は中国人の女とみられる。一部は既に摘発されており、国外退去処分になっている。

 詐欺団は、ナイジェリア人が経営する都内の飲食店などで入手した客のクレジットカード情報で偽造カードを作製。都内のコンビニでたばこをだまし取る犯行を繰り返していた。
 たばこは中国に密輸し、転売していた疑いが持たれている。
 日本製たばこは中国国内で人気が高く、巨額の犯罪収益を得ることが可能だという。
 警察当局は被害総額の確認を急ぐとともに、組織の全容解明を進める。

 ナイジェリア人犯罪集団は世界各国で詐欺行為を繰り返しており、国際刑事警察機構(ICPO)も摘発を強化。中国人の組織も国内で多くの詐欺事件を起こしている。

 警察庁によると、平成27年の来日外国人による刑法犯のうち、カード偽造事件の摘発件数は中国人の33件が最多で、ナイジェリア人は2番目に多い15件だった。

 ただ、カード犯罪にたける両国の犯罪集団の連携は、これまでほとんど確認されていなかった。
 捜査関係者は「それぞれの国の犯罪組織が摘発されることはあったが、構成された混成団による犯罪が明らかになることは極めて異例だ。今後も類似のケースが増えかねない」と警戒している。
産経ニュース 2017年1月5日 


 ◆強固な組織、世界で暗躍 ナイジェリア詐欺団、資金洗浄や覚醒剤も 中国人とノウハウ共有

 中国人とナイジェリア人による混成詐欺団の実態が4日、明らかになった。ナイジェリア人犯罪組織は世界で暗躍しており、国内でも偽造カードを使った詐欺事件やマネーロンダリング(資金洗浄)事件が相次ぐ。

 一方、中国人が絡む偽造カードを使ったたばこの詐取事件は関東周辺で続発。互いの犯罪ノウハウを共有し、両者は日本の闇社会で手を結んでいた。

 ◇「419詐欺」

 日本では比較的なじみが薄いが、ナイジェリア人の犯罪グループは世界で猛威を振るう。
「ナイジェリアは公用語が英語であるため、欧米で言語的障壁がない。世界に散らばる同胞との強固なネットワークを武器にして、詐欺や密輸などの犯罪を繰り返している」と捜査関係者は解説する。

 ナイジェリア人犯罪グループによる詐欺事件は、ナイジェリアの刑法419条に抵触することから、国際的に「419詐欺」の名称で広く知られる。

 昨年8月には、世界中に偽のビジネスメールをばらまいて架空請求をする「ビジネスメール詐欺」の手口で6千万ドル(約70億円)をだまし取っていたとみられるナイジェリア人の40代男を国際刑事警察機構(ICPO)などが逮捕し、発表した。

 「マイク」と名乗る男はナイジェリア、マレーシア、南アフリカに40人以上の犯罪グループを従えて現金をだまし取り、中国、欧州、米国の協力者を使って資金洗浄も行っていた。

 捜査関係者は「確実に今後も419詐欺は猛威を振るう」と指摘する。

 ◇「幅広い犯罪」

 ナイジェリア人による犯罪グループは、日本国内でもさまざまな犯罪に手を染めてきた。

 昨年6月、海外で得た犯罪収益を「商品代金」と偽って日本国内で不正に出金したとして、大阪府警などが組織犯罪処罰法違反(犯罪収益隠匿)などの容疑で、ナイジェリア国籍の男3人を逮捕したことが判明した。
 国内で管理する数十の口座に海外から総額14億円以上が送金されたとみられる。

 平成27年6月には愛知、富山両県警の合同捜査本部が、ナイジェリア人の男が運営する偽造カードの製造拠点を摘発。男は偽造カードを使って詐欺を繰り返しており、拠点からはカード情報を読み取る機械と偽造カード58枚が押収された。

「ナイジェリア人組織はマネロンや詐欺に限らず幅広い犯罪を手がける。西アフリカからの覚醒剤の国内流通にも関与している」と警視庁幹部は話す。

 ◇五輪控え警戒

 こうしたナイジェリア人の犯罪組織と手を結んだのが、高い転売益が見込める国産たばこに目を付けている中国人の詐欺団だ。

 たばこをだまし取る事件は都内や埼玉県内で続発しており、埼玉県警は昨年10月、偽造カードでたばこをだまし取ったなどとして不正作出支払用カード電磁的記録供用や詐欺などの疑いで、中国人男女14人を逮捕。埼玉県内では昨年6〜9月にかけて、同種の被害が未遂も含めて計82件確認されていた。

 国際犯罪に詳しい捜査関係者は「2020年東京五輪・パラリンピックに向け、来日する外国人の数も増えるだろう。それに紛れる犯罪者の来日も増えるはず。犯罪組織の合従連衡に注意が必要だ」と話している。
産経新(リンク期限切れ)